「物理って役に立つの?」と子どもに聞かれたら 身近なものの仕組みはすべて物理でできている
あのタイプの暖房はボイラー室で沸かした熱いお湯が循環していて、部屋の冷たい空気と触れ合うときに熱が室内に伝わるように設計されているんです。エアコンも暖房のときは熱交換器に熱いガスが通るように切り替えるので、原理はまったく一緒です。
なのでエアコンが室内の空気を冷やす原理って、比較的簡単なんですよ。要は冷たいガスさえ常時パイプに送り込めればいいわけですから。
難しいのは、奪った熱を屋外に逃がす方法
ここまでは比較的設計しやすいのですが、難しいのは奪った熱を屋外に逃がす方法です。逃がすときも第二法則を使ってガスの熱を屋外に捨てたいのですが、よく考えるとパイプの中のガスよりも屋外の空気の方が暖かいかもしれないですよね。
冷たい方から温かい方には熱は伝わらないので、目的が達成できません。
では、ガスを熱くすればいいかというと、余計に電力もかかるし、全体としてみるとかなり無駄です。
だからエアコンって比較的新しい技術なんです。はじめてエアコンが開発されたのは1900年代のはじめ。第一法則と第二法則がわかっていても、エアコンのような機械を発明するまでに時間がかかったのには、そういう無理難題があったからです。
では、エアコンの設計者はこれをどう解決したかというと、ガスが循環するパイプの2カ所に、あるパーツを取り付けました。ひとつはコンプレッサー、ひとつは膨張弁です。
まずコンプレッサーの話からすると、コンプレッサーって気体を圧縮する装置のことです。コンプレッサーはタービンやピストンを利用して、気体をどんどん圧縮していきます。
するとガスは圧縮される。実は、「圧力が2倍になれば、温度も2倍になる」、つまり「体積と温度は比例する」という法則があるため、その結果、気体は圧力に比例して温度が上がります。
では、このコンプレッサーは次の図のAとB、どちらにつけるといいでしょう?
そう、正解はAです。
屋外に熱を逃がす「前」にかますことで、パイプ内のフロンガスの温度をグッと上げる。そうすることによって仮に屋外が40℃の猛暑であってもガスの方が熱いので熱を屋外に逃がすことができます。こうして無理に温めなくても自然の法則で温度が上がるのです。賢いですね。
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