「物理って役に立つの?」と子どもに聞かれたら 身近なものの仕組みはすべて物理でできている

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物理はあらゆる自然科学の土台になる(写真:miya227/PIXTA)
学生の頃、物理を理解できないまま大人になってしまったという人は少なくないのでは? また、今まさに物理を学んでいる子どもに「物理って何の役に立つの?」と聞かれて困っている保護者もいるでしょう。そこで東大の西成活裕教授に、エアコンを例に物理の法則や、どのように役に立つのか平易に解説してもらいました(※本稿は『東大の先生! 文系の私に超わかりやすく物理を教えてください!』より一部抜粋・編集してごお届けします)。

熱を力に変えることを可能にしたワット

高校で習う物理は、私たちにとって身近な世界の原理原則を扱う「力」「熱」「波」「電磁気」の4分野です。その中で、今回は「熱」、物理学で呼ぶところの「熱力学」についてお話ししましょう。

人類は寒さをしのぐために焚き火をしたり、肉を焼いたり、お湯を沸かしたりということをずっとやってきたわけですが、「熱っていったい何なんだ?」という問いは昔から多くの人が抱いていたことです。

そのブレイクスルーを起こした1人がジェームズ・ワットさん。彼が熱に関する理論をまとめて、それを応用して蒸気機関までつくってしまいます。蒸気機関ができたおかげで人類は熱を力に変えることができるようになりました。文明をガラッと変えるとんでもないイノベーションです。

というわけで、今回は、こうした先人たちが見つけた熱の法則を使って設計されているエアコンを取り上げたいと思います。

まず熱を考えるときは、熱だけのことを考えずに、「熱」「エネルギー」「仕事」という3つの概念をセットにして観察します。仕事は「仕事量」というもので測るとします。

先に記号を教えると、熱はQとよく書きます。エネルギーはUと書きます。Eと書く場合もありますけど今回はUにしましょう。仕事量はWと書きます。「ワーク(work)」のWです。ここで結論を先に言うと「熱とエネルギーと仕事量の和(合計)は、常に一定である」。これが人類が必死にたどり着いた結論です。ワットの死後、マイヤーやジュールなどがまとめた法則です。

たとえば熱が減ったら、減った分はエネルギーや仕事量に入れ替わっているということです。もし仕事量が増えたら、熱やエネルギーが減っているはずだ、となります。このように熱とエネルギーと仕事量はどんどん入れ替わる。

これを「熱力学第一法則」といって、今回最も大事な法則です。別名「エネルギー保存の法則」とも言います。

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