「ハラスメント包囲網」が職場に生み出す残念な溝 女性への無意識の思い込みが問題をこじらせる

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「された人がそう感じたらハラスメント」とも言われますが、それでは何に気を付けるべきか判断をするのが難しく、異性を遠ざけるくらいしか解決策がなくなってしまいます。

女性たちに、男性管理職と2人になったり食事に行ったりすることを否定的に考えるかどうかと聞くと、たいてい「相手による」と言いますが、これを「管理職の人間力」などという曖昧な言葉で片付けてしまうことも、問題解決にはなりません。マネジメントする側として部下にどう接したら正しいのか、経営側が明確な答えを出さずに個人の感覚任せにしていては、男女の溝は深まるばかりです。

気をつけたいNGな言動

それでは、ハラスメントを回避しつつ、女性にしっかり活躍してもらえるようにするためにはどのようなコミュニケーションを心がけるといいでしょうか。

地位を利用して性的関係を強要したり、断ると嫌がらせをしたり、性的な言動をしたりすることはもちろんNGですが、「もう◯歳なのに結婚しなくていいの?」「子どもが小さいのに仕事ばっかりしていて大丈夫?」など性的役割分担意識を押し付けることも聞いている人にとってはセクハラの一種で不快です。もちろん男性にも「男のくせに重いものも持てないのか」というような発言はNGです。

加えて、「教えて」いるつもりで過去の自分の成功体験を繰り返し、部下や後輩の話を聞かずに話し続けてしまう男性上司にうんざりしていることも。

「相談をするつもりで時間をとってもらったけれど、上司の成功体験ばかり聞かされて話を聞いてもらえず、一方的に考えを押し付けられて自分を否定されたように感じた」

「食事に行くと、女性はひたすら上司にお酒をついだり頷いたり、褒め続けなければいけない空気。仕事相手と思っていないのでは」

等は取材を重ねているとよく出てくる言葉。

前者は「パワハラ」後者は「セクハラ」と捉えかねられません。

次ページ非常に効果的で、案外できない「傾聴」をする
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