「ハラスメント包囲網」が職場に生み出す残念な溝 女性への無意識の思い込みが問題をこじらせる

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仕事をする女性に対するアンコンシャスバイアスには、2つの側面が存在するように思います。

「アンコンシャスバイアス」2つの側面

まず1つめは「男性は仕事、女性は家庭」といった旧来の性的役割分担意識に基づいて、女性の社会進出をネガティブに捉える側面。

「独身で仕事ばかりしている女性は不幸である」「女性は夫や子どもの世話をするのが当たり前である」……といったものがそれにあたります。これは男女問わずに自分のバックグラウンドや属している組織の中で埋め込まれてしまっていることが多い捉え方です。

もう1つのパターン、それは「女性には女性向けの仕事や仕事の仕方がある」という一見、女性をサポートしているようにも聞こえる捉え方。

これば「女性は細かなことに目配りが行き届くから事務作業やコミュニケーションが得意である」「育児中の女性には責任のある仕事を与えるのは気の毒だ」「女性は弱く傷つきやすいから失敗するかもしれないチャレンジをさせるのはかわいそうだ」というようなものです。

一見、善意ともとれるような内容で、実際やっているほうは悪気などみじんもなかったりします。自覚も指摘もしやすい前者の捉え方と違って悪意がないだけに、男女ともに女性活躍推進を阻む考え方だとは気づきにくい。そのためなかなか改善もされません。

2022年の世界国際フォーラムが発表している「ジェンダーギャップ指数」では146カ国中116位と、日本が諸外国に比べ男女共同参画において著しく劣っていることが見てとれます。

ただ、この内容をよく見てみると、実は日本は「教育」におけるジェンダーギャップがない、ということについては世界で1位なのです。一方で、政治と経済の分野では大きく後れをとっています。つまり、学校では男女の能力に差がないのに、優秀な女性でも社会に出たとたんに活躍の場が極端に減る。その理由の1つが、後者のような悪意のない思い込みによるものでしょう。

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