米国のエリートが「コーヒーよりお茶」を選ぶ根拠 マナーが身につく教養として注目され始めた

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ビジネスパーソンが身につけたい礼儀作法のことを、日本では「ビジネスマナー」といいますが、これは和製英語。国際社会では「ビジネスエチケット」と表記します。「ビジネスエチケット」という概念が生まれたのは17世紀、世界初のグローバルカンパニー東インド会社が誕生した頃です。

イギリス東インド会社で株式システムが登場した際、出資者を募るブローカーたちは、「マナーが悪い」という理由で王立取引所への立ち入りが許されず、近隣にあったコーヒーハウスに集まるようになりました。

投機熱の高まりとともに、一攫千金を狙う貴族から闇の相場師まで、さまざまな階級の人々が入り乱れるようになり、不正行為やトラブルも日常茶飯事というカオス状態に陥っていきます。そんな中、貴族から次々と取引を依頼されるブローカーがいました。それは、「教養」を身につけた人です。

ビジネスと教養

ここでいう教養は「カルチャー(Culture)」のこと。日本ではカルチャー=文化と捉えることが多いのですが、語源は「耕す」に由来し、「教養」や「洗練」を意味しています。つまり、投資の知識はもちろんのこと、洗練された身だしなみや作法といった「ジェントルマン文化としての教養」を高めた人がビジネスチャンスをつかんでいったのです。

これは、出資する貴族の立場に立ってみると当然のことでした。階級が違うとはいえ、相手に不快感や不安を与える「教養が足りない人(Uncultured Person)」に大金を預けるわけにはいきません。積極的に教養や知識を身につけ、品格を高めようとする人間性を評価したのです。

日本でも、利休はじめ安土桃山時代の商人たちは、教養や品位を身につけるために茶の湯を学んだといいます。同じように、英国のビジネスパーソンたちも、階級の高い貴族を相手に交渉のテーブルにつけるよう、コーヒーハウスで貴族趣味のお茶を嗜み、知識やマナーを身につけ、品性を磨いていったのです。

次ページ茶道とアフターヌーンティーの共通点
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事