安倍首相の政策では、日本は復活しない 円安では「人材流出」が加速するだけ

✎ 1〜 ✎ 72 ✎ 73 ✎ 74 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

1971年のニクソンショック以来、円はひたすら高くなってきたので、こういう人材流出の危機はなかったわけですが、このまま無為な円安政策を続けるならば、その危機に直面する可能性は十分あるでしょう。もう10年以上繰り返しているのですが、通貨安で潰れた国の例は枚挙にいとまがありませんが、通貨高で潰れた国はないのです。

自国通貨の価値が高いことを喜ぶのが当然で、輸出依存度が10%程度の日本が自国通貨の価値が下がる円安を喜ぶのはもはや滑稽というほかありませんね。それで高度人材を日本に呼び込むなんて、一体どういう頭の構造なのでしょうか。

安倍首相の大好きな「強い日本」を目指すには「強い円」が不可欠なのです。

2019年ラグビーW杯開催・釜石の「悲報」

ご存じのとおり、ワタクシは現在岩手県に本拠地を置いて仕事をしておりますが、悲報が舞い込んでまいりました。

あの、岩手県釜石市が2019年に開催予定のラグビーのワールドカップ開催地に選ばれてしまいました……。

メディアは興奮気味に、「勇気を与えた」とか、市民の歓喜の声を無邪気に伝える一方です。しかし、これほど恐ろしいことはない。

スタジアム整備費用に約29億円が見込まれ、60%は例によって交付金によって賄われ、地元の負担は約10億円とされています。当初よりスケールをダウンしたものの、1万5000人収容の仮設スタンドを設営し、年間維持費に3500万円を見込んでいるということです。

確かに、ワールドカップの時は、確かに人は来るでしょう。しかし、わずか1試合、2試合で釜石市の負担の10億円は絶対に回収不能です。

そして、いつも文句を言っているように、その後の維持費の問題が何十年にもわたって釜石市の負担となるわけです。わずか人口3万4000人の町がどうやって、1万5000人収容のスタジアムを維持するのでしょうか?

誰が見ても不可能で、大体それだけの人を集めるイベントを開催することだけでも大変です。1万5000人を満員にするアーティストがそう頻繁に釜石に来るわけもなく(東北6県の最大都市・仙台市でさえ難しい)、それを維持するのは残された、高齢化の一途をたどる釜石市。

さらに釜石市がSOSを出せば当然被災地ということで、国税が投入されるのは明らかです。ワタクシは問いたいのですよ。これが復興なのですかと。ラグビーワールドカップという看板はアドバルーンとしては最高です。

森元首相なども、率先して釜石を推していたとも聞いています。しかし、これこそ、本当の復興の足を引っ張るだけで、ゼネコンや、政治家のスタンドプレーに惑わされる悪しき「地方再生」の最たるものであります。

これまでの「地方再生の大きな間違い」については盟友の木下斉(ひとし)君が「東洋経済オンライン」に地方創生のリアルとして連載しております。例えば「地方を滅ぼす『名ばかりコンサルタント』」や、「なぜ地方は補助金をもらっても衰退するのか」をお読みになれば、地方創生に必要なのは、「おカネ」だけではない、ということがおわかりいただけると思います。この連載も合わせ、ぜひ皆様に一緒に考えていただきたいと思っている次第です。

次ページさて競馬。春のクラシック前哨戦「弥生賞」!
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事