ちょっとした腰痛で病院にかかるのは大げさな気がして、躊躇する人もいるかもしれない。だが、Dr.Koalaさんは「腰痛で病院やクリニック(診療所)を受診するのは、まったく大げさではありません。まずは受診を」と話す。
「最初に病院の整形外科、または整形外科クリニックを受診していただきたい理由の1つめは、病院なら検査や治療の幅が広く、万が一にも重大な病気だった場合、すぐに治療を進めることができるためです」(Dr.Koalaさん)
整形外科で腰痛患者を診る場合、特に注意すべきなのが「レッドフラッグ」などといわれる、早急に対応を要する疾患だ。例えば、骨や軟部組織の腫瘍や他の部分にできた「がん」の骨転移などの悪性疾患、感染、骨折など。そのほか、外科や婦人科などの疾患が疑われる場合には速やかに適切な診療科へとつなげることができる。
「そしてもう1つの理由は、どんな腰痛でも、基本的に検査や治療が保険診療で受けられるためで、これも患者さんにとって大きなメリットです」(Dr.Koalaさん)
多くは痛みを取る治療がメイン
実際に整形外科を受診すると、問診で症状を聞き、必要に応じてX線検査やCT、MRIなどの画像検査、血液検査や尿検査などを行うことになる。そのうえで原因や病気に対応した治療が行われる。
「腰痛には痛み止めの飲み薬や貼り薬(湿布)を用いる薬物療法、コルセットを使った治療とともに、姿勢の改善などの生活の見直しを行います」(Dr.Koalaさん)
さらに、痛みのある場所に麻酔薬などを注入するブロック注射療法(【つらい痛み】鎮痛薬が効かない時にすべきこと参照)、運動機能の維持や改善を目的に運動・温熱などの物理的手段を用いる理学療法などが行われることもある。
「病院の整形外科では、薬物療法のほか、入院や手術が必要な場合も対応可能です。整形外科クリニックでは、薬物療法のほか理学療法も併用しているところが多いでしょう。大きな病院では、外来での理学療法を行っていなかったり、通院が大変になったりすることもあるので、薬物療法と理学療法が適応となる場合には、整形外科クリニックを選択する方法もあります」(Dr.Koalaさん)
腰痛では手術が必要になるケースも多い……そんなイメージを持つ人がいるかもしれない。だが、必ずしもそうとは限らない。
「例えば、MRIなどの検査で明らかに腰椎椎間板ヘルニアと診断された患者さんでも、必ずしもすべての患者さんが手術適応となるわけではありません。手術になるかどうかは、患者さんの症状やご希望などによって変わります。
極度の筋力低下が起きたり、膀胱直腸障害といって排尿や排便の感覚がなくなるような強い神経マヒが起きたりするようでしたら手術が必要になります。それ以外の場合は患者さんと相談のうえ、治療手段の1つとして手術を選択することもあります」
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