帯も、着物と比べると面積は狭くなりますが、やはり平面の布なので、絵を描くことができます。着物を着ることは、まるで大きなキャンバスを2~3枚着ているようなものなのです。洋服は、人の身体に合わせた立体裁断なので、絵を描けるスペースは多くありません。着物のように、大きく絵を描ける衣装は珍しいのです。
そんな着物は何でできているのでしょうか?
「コットン?」「ポリエステル?」
正確に答えられる人はきっと少ないでしょう。
着物や帯の9割は絹=シルクでできています。残り1割がウール、木綿、麻、ポリエステルなどです。
家で家事をしたり、仕事をしたりする時には、着心地の良い木綿やウールが、夏の着物には涼しい麻が愛用されてきました。最近は、ポリエステルの着物も増えてきています。ポリエステルの着物は自宅でも洗濯しやすいため、「洗える着物」「雨の日でも着られる着物」として人気があります。
それでも今も、着物の多くが絹で作られています。絹の着物を着て外を歩くと、陽の光の下で色がパッと明るくなります。歩くと袖や袖の布が柔らかに揺れます。着てみると見た目の印象よりもずっと軽く、しっとりなめらかで肌にも優しい。繊細で美しいのに丈夫で長持ちすることも絹の特徴です。
絹布は、世界各地で古くから高級品として扱われてきました。王族貴族など身分の高い人たちしか着ることが許されなかった時代も長くありました。
「着物は絹、シルクでできています」と答えると、海外の方からは「シルク!とっても綺麗!」と驚かれ、羨望のまなざしを向けられることも多いのです。
普段着としてもこうして絹を着ることができるんだなんて、着物はなんてステキな衣装だろうと思うのです。
今の着物スタイルが生まれたのは江戸時代以降
日本の着物の歴史を紐解くと平安時代にまでさかのぼり、1000年の歴史があることがわかります。奈良時代まで、日本の衣服は中国の影響を強く受けていました。
当時の朝廷が中国の隋の国に遣隋使を、唐になると遣唐使を派遣し、中国の政治や文化を学ぼうとしていました。服装も唐風文化と呼ばれ、中国から影響を受けたものでした。
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