テレビはZ世代とシニア世代をどう繋ぎ止めるか 上も下も幅広く家族で視聴できる番組に活路
民放各局はコア(ターゲット)とも称される若い世代に向けた編成・制作方針にシフトしていると言われるが、依然としてテレビと親和性が高く、人口も多いシニア世代をどう扱うべきなのか。世代研究、マーケティング分析に定評ある原田曜平氏に伺った。
Z世代の特徴は 「Chill&Me」
「Z世代」と「シニア世代」を考えるうえで、まずZ世代と「ゆとり世代」を比較してみます。この2つの世代は時代背景がまったく異なっていて、ゆとり世代が高校生、大学生のとき、ちょうどリストラという言葉が流行りました。彼らは生まれたときから不景気で、クルマ、お酒、恋愛、旅行から離れてしまった。ひと言で表すと「Small Life」。消費金額、行動範囲ともに上の世代よりも小さくなっているのが、ゆとり世代の特徴です。
一方、Z世代になると状況が一変します。アベノミクスには賛否両論ありますが、彼らの世代には追い風になりました。就職活動は超売り手市場で、成績の良くない先輩でも大手企業に入社しているので危機感はなく、転職もしやすい。スマホやSNSも発達し、綺麗な写真や面白い動画を投稿すればフォロワーが増えてプチスターになれて、検索すればすぐに答えがわかるようになった。
Z世代はスマホとSNSを中学3年生ごろから使い始めた最初の世代で、複数のSNSを使いこなして発信欲も自意識も高い。彼らを表すと「Chill&Me」(まったりとして自意識が高い)が特徴と言えます。
ひと括りにできないシニア世代
そしてシニア世代ですが、シニア世代のなかにも世代論があることを理解する必要があります。 シニア世代の一番上を「昭和ひと桁世代」とすると、この世代は戦争に負けて、焼け野原の貧困状況から世界第3位の経済大国にまで上りつめました。モーレツ社員と言われ、ひたすら働いた世代です。
日本的な家父長制、男尊女卑が色濃く、例えば『巨人の星』の星一徹のような男性像がイメージされます。長男だけが優遇され、次男や三男、そして女性は家庭内での地位が低いのが当たり前でした。ようやくテレビ、ラジオが普及し、時代を象徴した映画『青い山脈』で、女学生が他校の男子生徒と一緒に歩くだけで大騒ぎになってしまうという時代でした。
その下の世代が「戦後焼け跡世代」。「もはや戦後ではない」という有名な言葉とともに思春期を迎えた世代です。右肩上がりのいざなぎ景気を経験しています。男性はまだモーレツ社員で、3C(自動車、クーラー、カラーテレビ)が憧れ。映画『太陽の季節』や『狂った果実』が流行り、郊外の団地に住むカルチャーを作りました。
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