日本人はビッグマック410円の貧しさを知らない iPhoneは高嶺の花、気がつけば「プア・ジャパン」

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2022年7月時点での各国のビッグマックの価格を日本円に換算してみると、図表1のようになる(換算レートは、9月末の市場為替レート)。9月30日に改定されたばかりの日本のビッグマックは410円で計算した(7月末時点では390円だった)。

(外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

ビッグマックの価格

日本では410円だが、1位のスイスは949円であり、「法外な値段だ」と感じる。アメリカは738.1円で、日本の1.9倍になる。イギリスやドイツも、日本より大分高い。

中国が483円で、日本より2割弱高い。2021年6月には日本より安かったのだが、ついに中国のほうが日本より高くなってしまった。韓国の463円も、日本より高いと感じる。

窓を開けないと、世界の状況がわからない

以上で述べたのは、これまでも静かに進行していた現象だ。2022年の円安で改めて気づいた。

この状況は、下降するエレベーターに乗っているようなものだ。

自分のいる高さは、本当は下がっているのだが、エレベーターに同乗している人たちとの相対的な位置関係は変わらない。だから、下がっているのがわからない。

エレベーターには窓がないから、こうしたことになるのだ。

自分の位置を正しく知るには、エレベーターの「窓を開ける」必要がある。日本にはいま、外の世界が見える窓を開けることが必要だ。

ビッグマック指数で日本の購買力が低くなったことは、多くの人が知っていた。しかし、これまでは、それが私たちの生活に直接影響する問題だとは考えていなかった。

なぜなら、ビッグマックは、アメリカと同じものを日本で作れるからだ。日本の安い労働力を使って、価格が安い(しかし同じ品質の)ビッグマックを作れる。だから、わざわざアメリカまで(あるいは他の国まで)高いビッグマックを買いにいく必要はない。日本で安いビッグマックを買えばよいだけのことで、さして大きな問題だとは感じていなかった。

次ページ「安い日本」が問題なのでなく、「賃金が低い日本」が問題
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