転職活動「100社落ちた」40代男性が考えた処世術 ベテランこそ身に付けたい「リスキリング」とは

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そのためDXなどを推進して、事業構造や収益構造を改革していく会社のニーズに基づいてリスキリングを推進していく必要があります。雇用主はベテラン社員の身につけてきた業務分野の知識、経験、スキルと、テクノロジーやデジタルスキルを結びつける接点を創出する義務があると考えます。

リスキリング・マインドセット

日本では、改正高年齢者雇用安定法により70歳までの就労を支援しており、雇用者は定年退職を70歳まで引き上げるか、場合によっては定年退職自体の廃止を検討することが求められています。

高齢者のリスキリングで日本が世界に誇るロールモデルは若宮正子氏ではないでしょうか。

若宮氏は、58歳で初めてパソコンを購入してさまざまなPCスキルを身につけたのち、81歳で高齢者向けのスマートフォン向けゲームアプリを開発しました。2017年には、アップルが毎年開催している開発者向けカンファレンスWWDCに招待され、「世界最高齢のアプリ開発者」として世界中から注目されました。アップルのCEOティム・クック氏とのインタビューは記憶に新しいところです。

認定特定非営利活動法人育て上げネット理事長の工藤啓氏との対談では、若宮氏の人物像やリスキリングに向き合うためのエッセンスがたくさん詰まった内容となっていて必見です。

とくにタイトルの「人生100年時代、ゆっくりやればいい」というメッセージや「人生50年なら残り10年という最終楽章かもしれません。いまの時代だったら、まだ3回裏くらいじゃないですか」(「若宮正子さん 人生100年時代、ゆっくりやればいい」工藤啓氏Yahoo!ニュース 個人より) という言葉には、もっと肩の力を抜いてリスキリングのことを考えてもいいのでは、という視点をいただいた気がします。

87歳となった現在は、高齢者向けにスマートフォンの使い方を教えるワークショップを開催しています。SWI(スイス公共放送協会国際部)からの取材に対し若宮氏は「学びに年齢は関係ない」「少子高齢化が進めば介護の現場などで、できるところはロボットにやってもらう時代がどうしても来ると思う。だからこそ、使う側の高齢者がデジタルの知識を習得しないと。AIスピーカーやスマート家電が使えれば、寝たきりの人の生活もずいぶん楽になる」(「『学びに年齢は関係ない』最高齢プログラマー、若宮正子さん」SWIより)と話しています。

デジタル・デバイド(情報格差)を縮小し、インクルーシブな社会を築いていくためにできること。それは、新たなデジタルスキルなどを身につける必要があるベテラン中高年社員の気持ちや立場に寄り添って、政府や企業がリスキリングを推し進めていくことにほかなりません。

これからの時代、外部環境に左右されず、誰もが「リスキリング」というスキル・習慣を身につける必要があることがおわかりいただけたのではないでしょうか。

OECDの人口予測によれば、2050年にはOECD諸国の生産年齢人口(15〜64歳)に対する65歳以上の人口の比率が40%を超えると予想されています。また、2050年の世界人口(全年齢)は95億人に達すると見込まれており、そのうちおよそ21%(20億人)が60歳以上の高齢者になると予想されています。

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