諸外国がこれから高齢化に向かう中、若宮正子氏のようなリスキリングに成功したベテラン中高年社員がどんどん増えていき、リスキリングに関する多様な成功事例が生まれてくれば、これから日本企業は世界各国の企業のロールモデルとして貢献していくことができるのではないでしょうか。
生活のデジタル化からまず始めよ
仕事を通じてなかなかリスキリングをする機会が得られなかったり、デジタルスキルを身につけることに対して精神的な抵抗を感じたり、苦手意識が取れないという方から、「どうしたらいいか?」という相談を受けることがあります。
私はその際にいつも、「まず、生活のデジタル化から始めてみてはいかがですか?」とお話しするようにしています。
例えば、Amazon AlexaやGoogle Homeといったスマートスピーカーサービスを例に取ってみます。これは、AIアシスタントの活用や音声検索のいい練習になります。使ったことがある方はおわかりいただけると思いますが、AIアシスタントを上手に使いこなすには、少し工夫がいります。これからは音声検索の時代になると言われていますが、Googleで検索をするとき同様、少しコツが必要です。
自分が意図している検索結果にたどり着かない場合には、違う表現を使ってみたり、発音の滑舌をはっきりさせたり、意図的に間を置いてみたり。これは実はAIによる自然言語処理の機能を使っていることになります。
お掃除ロボットからは、AIやIoTセンサーの活用や、どういう作業が自動化されるのか、について学ぶことができます。お掃除ロボットはセンサーを活用して、部屋の見取り図を記録し、次回からはその見取り図に基づいて掃除をしていきます。また、どういったスペースの掃除が苦手で一時停止するのかなど、センサーの得意不得意などを理解することができます。
アップルウォッチなどと連動して利用するスマートスケール(体重計)などからも、IoTセンサーやデータトラッキングについて学ぶことができます。昔であれば病院に行かないと計測できなかったようなデータを、簡単に取得することができます。どのようにしてバイタルデータを取得しているかを理解することで、IoTサービスのヒントが得られます。
こういったデバイスに共通しているのは、センサーを活用し、クラウドに情報をアップロードし、またiPhoneなどスマートフォンのアプリで操作をすることが可能だということです。最近では、リアルタイムでクラウドに大容量のデータをアップロードせずに、Edge AIといって、端末に最小限のAI機能を搭載することで、データ取得のレイテンシー(遅延時間)を短くすることができます。
このように実は身近な生活の中に、デジタルやテクノロジーを理解するヒントが実はたくさん転がっているのです。
ここで大切なことは、知ったかぶりをしない、ということです。よく、新聞やビジネス誌だけを読んでいてなんとなくAIやデジタルについて理解している気になっている中高年の方や経営者の方がいらっしゃいます。「知っている(つもり)」から「まず使ってみる」習慣を身につける、意識改革が必要です。
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