米国株が下落するなら日本株を買うチャンスだ 日経平均株価の年内の戻りはいくらになるのか

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ここで、ジャクソンホール会合やその後における要人発言のポイントをしっかり確認しておこう。

ジェローム・パウエルFRB議長:① 9月会合の利上げ幅はデータや経済見通しを総合的に判断、②インフレ抑制に向けた政策をやり遂げるまで続けなければならない、③引き締め的な政策姿勢をしばらく維持する必要がある、④利上げは家計や企業に痛みをもたらす、⑤景気の後退懸念には言及せず。
ECB(欧州中央銀行)のイザベル・シュナーベル専務理事:
①高インフレが定着する可能性とコストは不快なほど高い、②中央銀行は力強く行動する必要がある、③インフレが高止まりするほど中央銀行に対する国民の信頼を失うリスクが高まる。
ジャクソンホール会合後のFOMC参加者の発言は以下の通りだ。
ミネアポリス連銀のニール・カシュカリ総裁:(26日の株式相場の急落について)「パウエル議長のジャクソンホール講演の受け止められ方を見てうれしく思う」と発言(8月29日)。
アトランタ連銀のラファエル・ボスティック総裁:「今後の指標がインフレ鈍化を明確に示すなら、利上げ幅を75ベーシスポイント(0.75%)から巻き戻す理由になるかもしれない」と発言(8月30日)。
ニューヨーク連銀のジョン・ウィリアムズ総裁:9月FOMCでの利上げ幅については明言を避けたものの、利下げに転じる可能性は否定(8月30日)。
クリーブランド連銀のロレッタ・メスター総裁:「来年の早い時期までにフェデラルファンド(FF)金利を4%をいくらか上回る水準に引き上げ、そこで維持する必要がある。来年の利下げを見込まない」と発言(8月31日)。
FRBのクリストファー・ウォラー理事:9月FOMCで(6・7月に2回連続で実施した0.75%の利上げに続く)再度の大幅利上げを支持すると表明(9月9日)。

9月「CPIショック」は楽観的な市場にとどめを刺した?

9月10日からはFOMC参加メンバーが対外発信を控える「ブラックアウト期間」に入った。急落していた日経平均株価も、ブラックアウト期間3日前の9月7日の安値2万7268円でいったん底打ちした。

株価急落により、9月20~21日に開催されるFOMC会合での大幅利上げ0.75%を100%織り込んだ(1.00%利上げの可能性も意識された)ため、相場はいったん悪材料を織り込み、自律反発した。だが、日経平均株価は9月13日、アメリカの8月CPI発表直前までは急反発した(2万8659円)ものの、ここが戻りの限界となった。

現地時間で同日朝に発表となった8月CPIは、指数の伸びが市場予想を上回り、FRBの大幅利上げ継続や景気悪化の懸念から売りが膨らんだ。

13日のNYダウは前日比1276ドル安(3.9%安)と急落。翌14日の日経平均株価も一時819円安となり、まだ楽観的だったマーケットにとどめを刺すような格好となった。これは、市場が20~21日に開催されるFOMCでの「利上げ継続」「QT本格化」をさらに意識する内容だったからだ。非常に残念だが、日本株はアメリカの金融引き締めによる同国株下落の悪影響を受ける形で、もう一段下落するとの見方を継続したい。

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