走行ルートの後半では下りのワインディング路に差しかかったが、こうした場面になるとe-4ORCEの効果は実に大きく、スイスイとコーナーを抜けていく。繰り返すが、e-4ORCEによる制御をドライバーが強く意識するのではなく、結果的に「なんだか、とても運転が上手くなったみたいだ」と感じるような、自然な動きだ。
別の視点での比較では、三菱の新型「アウトランダーPHEV」のプラットフォームはエクストレイルと共通だが、フロントに2.4リッターエンジンを持つプラグインハイブリッドで、リアモーターの利きを強めにセッティングしていることもあり、エクストレイルとはまったく違うクルマになっていることがわかる。
また、BEVのアリアとエクストレイルの走り味を比較すると、アリアは日産がインテリアに対して“ラウンジような”という形容を使うような独自の世界観が、走り味にも反映されている。e-4ORCEの制御は絶妙で、BEVながら極めて“自然体な走り”を実現していると思う。
対するエクストレイルも、結果的に走り味は自然体なのだが、オフロードでの走行も加味しているからか、人の操作に対してクルマの動きがマッチする度合いがアリアより強く、よりダイレクト感があるように感じる。同じe-4ORCEでも、2モデルでの開発に対する志向が違うのだろう。
AUTECH仕様や豊富なオプションの存在も
日産によると、2022年8月31日時点で新型エクストレイルの累計受注台数は1万7000台を超えている。そのうち90%がe-4ORCEで、グレードでは最上級のGが65%、中間グレードのXが33%、Sが2%という内訳だ。
もう1台、エクストレイルの試乗会場で見て気になったのは、AUTECH仕様車だ。
特徴はドットパターンのフロントグリルや低重心を強調するメタル調フィニッシュパーツ、そしてスポークをナット部の際まで伸ばしたデザインが印象的な20インチホイールだ。
また、オプションパーツとしては「放射冷却メタマテリアル技術」を要するRadi-Coolを使った、カーサイドタープやサンシェイドが気になった。
一般的なサンシェイドと比べて車内温度は10度以上も下がるという。実際、試乗会当日は強い日差しが降り注いでいたが、カーサイドタープの中は外と比べてかなり涼しく感じた。
エクストレイルは、2000年に初代(T30)が登場し、アウトドアや雪道などでの「タフギア」という商品性で広い世代で人気を博した。今回の4代目ではタフギアに加えて、3代目から強調している高度運転支援システム「プロパイロット」やコネクティビティ技術による「アドバンスドテクノロジー」をさらに高め、そしてAUTECH仕様や各種オプションパーツを含めて、「機能性と上質さ」を兼ね備えたモデルに仕上がったといえる。
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