120カ国超訪れてたどり着いた「世界最高の宿」 写真で見る「スリランカ『バワ』建築を訪ねて」
彼女は当初、ロールスロイスを乗り回していたバワにいい印象をもっていなかったらしいが、その後意気投合し、スリジャヤワルダナプラコッテの国会議事堂やベントータビーチホテルなど、さまざまなバワ作品で彼女のバティックが用いられることになる。
シルヴァは、バワサークルとよばれるバワの作品を支えるアーティストらの一人なのだが、バワに関する書籍には、彼女にかぎらず浮世離れした富裕層がよく出てくる。バワ本人にしても60年前のスリランカでロールスロイスは、現代の物価水準に照らし合わせると、どのくらいの貨幣価値だったのだろうか。
ルヌガンガの運営は、2020年7月にバワ財団からスリランカ各地にブティックホテルを展開するTEARDROP HOTELSに移った。それにともない、アゴダやブッキングドットコムなどオンライン予約サイトからの即時予約が可能となった。
また、敷地内にインフィニティプールが建設されており、これまで非公開だったメイン棟にあるバワの寝室も客室として開放するそうだ。現状は部屋の稼働率が低く、維持費の捻出も難しいと推察された。ルヌガンガの魅力はその静謐さにある。だが、その静謐さは採算度外視ゆえに実現することを認識せざるをえなかった。
バワの自宅兼事務所「ナンバー11」に宿泊
ルヌガンガに3泊した後、コロンボ市内にあったバワの自宅兼事務所、「ナンバー11」に宿泊した。こちらも日中の見学ツアーに加えて、1日1組のみ宿泊が可能だ。
広大な敷地に囲まれ、自然と建築の調和をテーマとしたルヌガンガとは異なり、住宅地にある4軒長屋を順次買い取って作り上げたナンバー11は、迷宮のような複雑さと、細部まで緻密に計算されたインテリアが魅力だ。
入り口にはバワの愛車である1937年製のロールスロイスが鎮座し、その横の壁にはエナ・デ・シルヴァの太陽をモチーフとしたバティックが輝く。2階にあるリビングルームは、ツアーで見学する際にロープが貼られ、立ち入ることができないが、宿泊客は滞在中自由に利用することができる。
このリビングルームの執務机に2冊のゲストブックがあった。建築関係者らしき人物の訪問が目立ち、スケッチも驚くほど精緻なものが多い。そして、コロナ前は書き残したゲストの半数以上が日本人だった。
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