巨艦「ゼクシィ」を率いる"変集長"の素顔 「変人」がわんさか増える社内、どう作る?

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さて、一口に変人といっても、いろいろな種類がいることをご存知だろうか。中には、本当は自分が変人であることをカミングアウトしたいのに、上司や会社の目が気になってしまう……そんな「ムッツリ変人」のままくすぶっている人も少なくない。

伊藤さんは、そんな空気を率先して吹き飛ばす。「私が変人化していくと、編集部のみんなが『自分も変人であっていいんだ』と思ってくれるのです。勇気を出して自分が変人になってやってみたら、お客さまが喜んでくださったという体験を得る。どんな人にも『その人らしさ』があるから、変人の扉は誰にでも開かれているんですよね!」。

固定観念という名のリミッターを外し、潜在的な「変人部員」たちを未踏の領域へと導いた伊藤さんは、もはやただの編集長ではなく、変人を束ねる“変集長”になっていったのである。

ヒットのカギは「一肌脱ぐ」ことにあり

「しゃもじ事件」でひらめき、「ムッツリ変人」たちを見事に開花させ、ゼクシィ編集部は変わっていった。すると、次々に企画がヒットする。

手荒れしたくない、でも彼や旦那さまの前で「ゴム手袋」をして家事をするのは所帯じみていて恥ずかしい……という意見をもとに生まれた、デザイン華やかな「花嫁すぎる・ゴム手袋」。ふたり暮らしをスタートさせると新しい家具を購入する機会も増えるはず……そんな発想から生まれた、これまたかわいらしい「花嫁専用 乙女すぎる・ドライバーライバーセット」。

「相手の呼び名」「理想の献立」「毎日のキスの有無と回数」など、カップルが結婚生活について妄想を膨らませるために作った「妄想用婚姻届」を付録にした際には、今すぐに結婚を考えているわけではない女性にも買い求められるほど、好評を博したという。

アイテムをズラリと並べながら、伊藤さんは語る。「単に花嫁さんにとって役立つ付録ではなくて、一肌脱ぐというか、一緒にテンションが上がるような『愛とユーモア』のあるアイデアを届けることが大切だと思います。もちろん、少しズレただけで『そこで脱いでくれなくても』と言われるときもありますが(笑)」。

組織の常識という壁が立ちはだかったとき、多くの人は「そうは言っても、自分の組織では難しい」と諦めてしまうものだ。しかし伊藤さんは、仕事のルーティーンそのものにおいても、独自のやり方で壁を崩す。

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