任天堂、実は業績が「大きくブレる」納得の3理由 常に好業績のイメージだが実態は異なっている

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ハードの販売不振と、その業績への影響が顕著に現れた事例を紹介します。任天堂の売上高と売上高原価率を時系列で並べてみると、2012年3月期頃から売上高原価率が大きく上昇していることに気づきます。なぜ、この時期だけ売上高原価率が増加しているのでしょうか?

出典:『会計クイズを解くだけで財務3表がわかる 世界一楽しい決算書の読み方[実践編]』

3DSの販売が大不振で苦渋の価格改定

その原因を調べるため、当時の開示資料を確認しにいきます。すると、2011年7月にニンテンドー3DS(携帯型ゲーム機)を元の販売価格から1万円も値引きして販売していることがわかります。

当時、スマートフォンの普及が一気に進んだ背景もあり、ソーシャルゲームが台頭し任天堂が逆風に見舞われていた時期でもありました。そのため、携帯型ゲーム機であるニンテンドー3DSの販売が大きく伸び悩み、苦肉の策として大幅な値引きが実施されたのです。

出典:『会計クイズを解くだけで財務3表がわかる 世界一楽しい決算書の読み方[実践編]』

2012年3月期の有価証券報告書の生産実績と販売実績を確認してみると、販売実績よりも生産実績のほうが上回っています。期首と期末の在庫部分が考慮されないため、販売実績と生産実績同士の比較は正確な対応数値とはなりませんが、原価率の上昇も含めてかなり苦戦していたと考えられます。要するに、製造した商品が売れていない状態です。

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