任天堂、実は業績が「大きくブレる」納得の3理由 常に好業績のイメージだが実態は異なっている

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任天堂の2021年3月期の業績は非常に好調でした。その理由の1つに、魅力的な製品を多く市場に出せたという背景があります。任天堂の決算説明会資料に記載があるように、大ヒットといわれるミリオンセラータイトルを36本生み出し、売上高を大きく押し上げました。

出典:『会計クイズを解くだけで財務3表がわかる 世界一楽しい決算書の読み方[実践編]』

大きな影響を与える「事業等のリスク」

原因② 季節的変動

【事業等のリスク】にはそのほかにも「業績の季節的変動」という記載があります。

コンシューマー向けのゲームは、魅力的な製品を開発することはもちろん、発売する時期も重要となります。年間の販売実績を見てもわかるとおり、クリスマスやお正月というイベントが集中する年末商戦の時期が最も需要が高くなります。

したがって、この年末商戦のタイミングに魅力的な製品をリリースできるかどうかということも売り上げに大きな影響を与えます。

出典:『会計クイズを解くだけで財務3表がわかる 世界一楽しい決算書の読み方[実践編]』
出典:『会計クイズを解くだけで財務3表がわかる 世界一楽しい決算書の読み方[実践編]』

前図のように、任天堂の売上高を年間ベースで見てみると、明らかに12月に偏っています。12月の年末商戦が1年でいちばんの稼ぎ時となるため、ポケモンなどのビッグタイトルの新作はいつも秋ごろに発売されているのです。

このことから、年末商戦前にリリースされる商品ラインナップは、任天堂の業績を予想する先行指標として活用できることがわかります。

原因③ ハード商品の普及

売上高に大きなブレが生じる原因の3つ目が、ゲームハードの普及です。ゲームソフトだけ持っていてもゲームで遊ぶことはできません。よって、ゲームハードを先に普及させる必要があり、この普及率が上がらない場合、業績に大きな影響が出てきてしまいます。

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