15時10分で一日の授業が終わります。放課後は、みんなでおやつを食べてからしばらく学校の中で自由に遊びます。お風呂の時間に合わせて寮に戻ります。
3〜4年生くらいの生徒に聞くと、寮でみんなでにぎやかにすごす時間が一日の中でいちばん好きだそうです。毎週金曜日の放課後にそれぞれ自宅に帰り、月曜日の午前中いっぱいで登校します。橋本駅まではスクールバスが出ており、4人に1人は自宅から通っています。
やたらと知的な会話が飛び交う
取材後、駅までスクールバスに便乗しました。一日中体を動かして学んでいたのにみんな元気です。「ロシアのプーチン大統領が……」とか「ウクライナの大統領はゼレンスキーだったよね」とか、「超電導リニアモーターカーが……」とか、やたらと知的な会話が飛び交っていて、びっくりしました。
このとびきりユニークな学校の創設者は堀真一郎さん。大学で教育学を専攻し、アメリカの思想家のデューイやイギリスに非常にユニークな学校を開いたニイルが提唱する進歩的教育について研究しました。その後大学教員を経て、50歳手前で自ら学校をつくります。経験の連鎖による学びを提唱するデューイと自己決定の原則を重視するニイルの思想をハイブリッドにした理想の学校としてきのくに子どもの村ができました。
和歌山県橋本市のきのくに子どもの村を「本家」として、いまでは福井県勝山市、山梨県南アルプス市、福岡県北九州市、長崎県東彼杵町にも「子どもの村」ができ、本家と同様の、しかしそれぞれの地域性を生かしたユニークな教育が行われています。
日本の学校でも、ここまでできるのです。親世代がもっている「学校」への思い込みを捨てれば、日本の学校も進化していけるのではないでしょうか。
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