「任天堂=ずっと好業績の企業」イメージは誤りだ 直近は絶好調だが赤字に苦しんでいた時期も

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出典:『会計クイズを解くだけで財務3表がわかる 世界一楽しい決算書の読み方[実践編]』

上記の表は任天堂の営業利益の推移です。15年比較で見てみるとわかるとおり、直近はかなり営業利益額が高くなっています。ところが2013年前後ではずっと赤字になっており、随分と様子が違いますね。

つまり売り上げのみならず、利益においても「いいとき」と「悪いとき」とでかなりの幅があるのです。「任天堂はずっと黒字のイメージ」というのは、実はここ数年の話であって、長期で見ると、「実は赤字に苦しんでいた時期もある」ということが読み取れます。

出典:『会計クイズを解くだけで財務3表がわかる 世界一楽しい決算書の読み方[実践編]』

最後に売上高と営業利益率を併せて確認してみると、売上高の増減に応じて、営業利益率も-8%から36%までブレ幅があります。今回のクイズは、任天堂の業績が好調だった2021年3月期と、苦戦していた2012年3月期の数値の比較でした。

同じ会社の財務数値でも、見る期間によって大きく数字が異なるため、「いつの時期の数字なのか?」という視点は非常に重要となります。

まとめと新たな疑問について

いくつかの財務数値を時系列で比較したことで、任天堂の業績はイメージと異なり、年によって大きくブレているという実態がよくわかりました。このように、時系列で見ることによって、その会社が本当に儲かっているのかどうかを確認することができ、企業の特徴を客観的に知ることができます。

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一方で、「なぜ業績がブレるのか?」や「なぜ2010年代の前半は赤字なのか?」といった、別の疑問が生まれた方も多いかと思います。この疑問については、次回、第4回で解説しますので、楽しみにお待ちください。

さて、このように、大枠としての数字を並べるだけでも、新たな問題提起に気づくきっかけにもなり、その結果、より深く企業を調べることができるとご理解いただけたかと思います。

ちなみに、今回分析に利用した情報は、HPで公開されている有価証券報告書の中の【企業の概況】から拝借させていただいた、財務トレンドの数値を並べたものでした。

出典:『会計クイズを解くだけで財務3表がわかる 世界一楽しい決算書の読み方[実践編]』

このように、数年にわたって企業の実績を分析したいときは、同じ箇所の必要な年度分だけ目を通せば、こういった分析が可能になります。勤めている企業や投資している企業などについて、一度数値を並べて分析してみると面白い発見があるかもしれませんよ。

大手町のランダムウォーカー 株式会社FUNDA代表取締役

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おおてまちのらんだむうぉーかー / otemachinorandomwalker

Twitterフォロワー数10万人超。公認会計士試験合格後、大手監査法人勤務を経て独立。「日本人全員が財務諸表を読める世界を創る」を合言葉に「大手町のランダムウォーカー」として「#会計クイズ」を始め、さまざまな業種・立場の人をネット上で巻き込み好評を博す。

現在は株式会社Funda(https://funda.jp/)にて、営業メンバー・新規事業立ち上げメンバー向けにアプリを使ったビジネス研修サービスを提供。初の著書『世界一楽しい決算書の読み方』(KADOKAWA)は紙・電子累計25万部を突破し、2021年1番売れた会計入門書(*)となった。
(*TONETS i 調べ)

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