「香川照之問題」海外では疑惑時点で即アウトな訳 芸能人の性的加害行為に厳しい英米芸能界

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日本の香川氏のように、人気俳優がテレビで企業のコマーシャルに出演するという慣習がイギリスにはないため、疑惑が出たのでコマーシャルの放送停止という事態は発生しないものの、イギリスの芸能人や芸能関係者の場合、疑惑だけで出演番組や映画などの出演、制作などがいったん停止する「疑惑が出たら、即、対処」のルールが採用される。視聴者のほうもそれを期待するのである。

疑惑だけで犯人視した報道になってしまう場合も

直近では、元BBCのラジオのDJティム・ウェストウッドの例がある。4月26日、BBCとリベラル系新聞ガーディアン紙はウェストウッドが影響力のあるDJとしての地位を利用して性的暴行を働いたと告発した7人の女性の話を報道した。疑惑の加害行為は1992年から2017年の間に発生したという。

報道から24時間後、ウェストウッドは番組を持っていた放送局「Capital Xtra」を降版すると発表した。ウェストウッドがDJをすることになっていた3つのイベントが開催を中止。ウェストウッド側は「すべてが作り話だ。完全否定する」と述べている。

常識的に考えると、BBCとガーディアンの調査報道記者たちが取材した女性たちがグルになってうそをついているとは思えないものの、一歩間違えば「実は犯人ではないのに、犯人視した報道」に転ぶ可能性もないわけではない。

疑惑が出た時点で即、出演番組の降版などの対処をしたほうがいいのか、それともじっくりと時間をかけて行動した方がいいのか。香川氏の場合、ほかの加害疑惑がどれぐらいあるのか、どのような加害なのかなどを筆者は知りたく思う。

イギリスの場合は好むと好まざるにかかわらず、性加害行動疑惑については超過敏反応の状態が続いている。

小林 恭子 在英ジャーナリスト

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こばやし・ぎんこ / Ginko Kobayashi

成城大学文芸学部芸術学科(映画専攻)を卒業後、アメリカの投資銀行ファースト・ボストン(現クレディ・スイス)勤務を経て、読売新聞の英字日刊紙デイリー・ヨミウリ紙(現ジャパン・ニューズ紙)の記者となる。2002年、渡英。英国のメディアをジャーナリズムの観点からウォッチングするブログ「英国メディア・ウオッチ」を運営しながら、業界紙、雑誌などにメディア記事を執筆。著書に『英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱』。

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