都会も地方も「似ている建物」で溢れている危機感 世界イチ住みたい街に携わる専門家の提言

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課題解決のためのターゲット産業が明確になれば、域外にあるその産業の成長企業に営業をかけることになるが、「うちのまちに来てください」というだけでは、ほかのまちとの差別化が図れない。

そんなときに役立つのが、企業経営者同士の横のつながりの構築だ。彼らの全国の顧客やサプライヤー、弁護士や銀行といったネットワークを使って、地元の経営者たちとともに、ターゲット企業の立地選定の決断者や社長に会いに行くことができる。

この営業スタイルの成功率は敏腕の地元経営者とタッグを組んで臨んでもわずかであるが、その確率をぐんと上げる方法もある。

周辺都市と包括連携協定を

それは、多少時間はかかっても、周辺の都市と企業誘致における包括連携協定を結び、チームとして広域都市圏で企業誘致のためのマーケティングと営業活動をする方法だ。

それまで産業の中核を担っていた電子機器や自動車工場の立地は、交通アクセスや電力、港湾施設といったインフラが集約した大都市やその周辺に集まっていたが、ICT産業の成長により頭角を現したGAFAM等は以前のようにインフラや土地にはそれほど縛られていない。重要なのは優秀な人材が集まり、密な人間関係を築ける環境である。

そして周辺都市と連携することにより、それらの企業に「私のまちには5万人の優秀な人材が住んでいます」というよりも「われわれの都市圏はA市とその周辺にある4都市があり、人口規模は25万人。そして御社の成長に必要な研究所、大学、短大などから優秀な学生が毎年1万人輩出されています」といったほうが、よりそれらの企業へのアピールになることは一目瞭然なのである。

今までのように、都会vs地方、工業地帯vs農村地帯のような大ざっぱな分類にとらわれず、各まちが時代の変化とともにそのまちの役割を明確にし、時代とともに変化し続けなくてはならない。そのためにはフレキシブルな姿勢と企画づくりが欠かせない条件となる。

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