都会も地方も「似ている建物」で溢れている危機感 世界イチ住みたい街に携わる専門家の提言

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日本の街中はどこも似たような建物で溢れています(写真:まちゃー/PIXTA)
コロナ禍に加えて、円安とロシアのウクライナ侵攻のダブルパンチで、先の見えない不況が続く日本。そんな日本を救うのは、地方都市の古き良き伝統産業なのかもしれない──。
「世界でいちばん住みたい街」と言われる、アメリカ・オレゴン州ポートランド市。そこで都市計画や開発に携わったサステイナブル都市計画家山崎満広氏に、地方都市が、ひいては日本経済そのものが立ち直るために今必要な「まちづくり」について語ってもらった。

都会では今日もどこかの駅に大きなハコモノのビルが現れ、人々がその中を動き回っている。それなりににぎわっているのだが、そろそろどこも同じようなまちのテイストに飽き飽きしてきたのは否めない。

都会だけではなく、地方でも数々のハコモノが散見される。だが、建設に費やされた時間や努力の割には、多くの地方自治体では明確な成果があがっていないのが現実だ。その大きな要因の1つは、「まちづくり」や「地方創生」の目標、落としどころが曖昧だということだ。

何のためにまちづくりをするのか

「まちづくり」はいったい何のために、誰のためにするのか、何を目標にすべきなのか。そもそも日本の地方のまちづくりにおいて最も重視すべき目標は、地域経済の原動力となる質の高い「しごとづくり」だ。

日本の社会は今なおエリート主義である。大企業に就職し高賃金を得て、安定した生活を手に入れたいと考える人が多い。この傾向は1970年代から現在まで、おおむね変わっていない。

また大企業の多くは、人材へのアクセスの観点から大都市とその周辺に立地することが多い。

一方で、従業員100人以下の小さな会社がまちや世の中を支えていることも事実である。

この理論で地方都市を考えれば、地元の起業家支援に軸をおいたほうが、質の高いしごとをつくるのに効率がいいのは明白だ。

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