脳に良い習慣と「脳に悪い心理状態」の決定的事実 ストレスや不安は海馬や前頭葉を萎縮させてしまう

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扁桃体がストレス反応を引き起こしつづけると、海馬のブレーキはすり減ってしまう。アクセルである扁桃体は、海馬が萎縮してブレーキが利かなくなると暴走を始める。こうして、ストレスがさらにストレスを生むサイクルに入る。

長期的なストレスは脳に損傷を与える。重いストレスや不安を抱える人の脳を調べると、実際に海馬が平均よりわずかに小さいことがわかる。おそらくコルチゾールによって、ゆっくりと蝕まれたためだろう。

心配するたび「前頭葉」が小さくなる

ストレスや不安で小さくなるのは海馬だけでない。抽象的思考や分析的思考を行う、額のすぐうしろ「前頭葉」も萎縮する。実際、極度の心配性の人は前頭葉の各部位が小さい。

前頭葉もまた、感情を暴走させず、理性を失った行動に出ないよう働くクールダウンの器官だ。その前頭葉が萎縮すれば、ストレスが長引いて脳はみずからを蝕み、歯止めはさらに利かなくなる。扁桃体がやたらと警告を発し、前頭葉がそれを打ち消すことができなければ、ほんの些細なことにも大げさに反応するようになる。

では、ストレス反応を抑えるにはどうすればいいのか。「磁気による刺激を前頭葉に与えて活動を促す」療法が実在するように、ストレスを抑えたければ、脳の思考領域、つまり海馬と前頭葉の機能をうながせばいい。この2つの部位は、ともに体を活発に動かすことで何より刺激を受ける部位である。

まず、ランニングやサイクリングなどの運動をすると、それを続けている間はコルチゾールの分泌量が増える。体に負荷がかかる運動は一種のストレスだからだ。

筋肉を適切に動かすには、より多くのエネルギーや酸素が必要なので、血流を増やそうとして心臓の鼓動は激しくなる。そして心拍数と血圧が上昇する。この場合のコルチゾールの働きは正常で、体を動かすために必要な反応だ。

しかし運動が終われば、体はもうストレス反応を必要としないので、コルチゾールの分泌量は減り、さらにランニング前のレベルにまで下がっていく。ランニングを習慣づけると、走っているときのコルチゾールの分泌量は次第に増えにくくなり、走り終えたときに下がる量は逆に増えていく。

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