かつて先輩が聞かせてくれた話があります。
「『あいつ使えない』という表現は、『あの人は役に立たない』という意味ではなく『私にはあの人を使う能力がない』という意味だ。『あいつ』と指差した手のうち3本は自分に向かっている」
これを聞いて、私はこの言葉は決して使わないようにしよう、と決めました。この言葉を発するということは、自分が彼や彼女に対して適切な対応をとることができず、負けを認めることだと感じたからです。
しかし、現実には自分にとって、どうしても相性の悪い人も存在します。そういう人が自分の感覚ではありえない行動をとっているように見えるときは、相手を責めてしまいそうになることもあるでしょう。
でもそんなときでも、「あいつ使えない」という言葉は封印し、発想の転換をしてみてください。「あの人を使える能力を身につけよう」と自分の問題として捉え直すことで、他責にする代わりに前向きな解決策はないかと、ギリギリまで踏ん張ることができるのです。
本音が隠されている愚痴を、意見に変える
みなさんは、「愚痴」と「意見」の違いをご存じでしょうか?
辞書的には、次のような定義です。
意見:ある問題に対する主張・考え、心に思うところ
私は、前者は「次につながらない」こと、後者は何かの改善や発案など「行動につながること」だとシンプルに理解しています。
何か不満や苦情がある場合も、次につながるアクションを添えることで、「愚痴」は「意見」に変わります。
愚痴を言いそうになったときは、「ではどうするべきか」「そのとき自分はどういう役割を演じるか」について考え提案すると、チームは前進しはじめます。
では、愚痴は不要なものなのでしょうか。
実は私は、これは必要なものだと考えます。むしろ愚痴にこそ、ほかのメンバーの本音が隠されていますので、それを聞くことは現状の把握やリスクの察知を可能にする重要な情報源となるのです。特にリーダーはメンバーの愚痴に耳を傾けることも仕事の1つと考えましょう。
もちろん聞き終わった後は、「それでは対応策はどうしようか」と相談し、愚痴を意見に変えていきます。
リーダー自身の愚痴については、通常メンバーには慎むべきだと思いますが、信頼できる相手に対しては、たまにはこぼしていいと思います。
リーダーも人間ですし、リーダーの不満は次のリーダーたちに共有しておくべきことでもあるからです。
これも健全なチームワークの姿です。
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