一方の南口では、商業施設よりも住宅街が多いようで、日中は付け待ちする車を10台ほど確認できた。
彼らの話では、地元住民の日常利用の平均単価は1500円に届けばいいほうだという。それだけにこの地を訪れるビジネスマンたちの売り上げはドライバーにとって大きな意味を持つ。
岐阜市内で70年以上営業する、「日本タクシー」代表の山田健太郎さん(45)はこう話す。
「コロナで夜の人が以前より動かなくなったこともあり、今の1日平均の売り上げは2万6000円ほどです。それだけに乗務員さんにとっては、長距離が期待できるビジネス客の売り上げは大きい。岐阜駅からアクセスがしやすい西濃運輸さんや工場、繊維関連も含めて、名だたる大企業もこのあたりはあるので。
タクシーの利用金額でいうと4000円前後が期待できるわけです。中には大垣あたりまで行かれる方もいて、出張客の売り上げというのは岐阜のタクシー業界では決して無視できない数字です」
各社に共通する「慢性的な乗務員不足」という苦悩
ターミナルや街を走るタクシーをみると、電鉄系の会社や中堅規模のタクシー会社が目立つ。岐阜名鉄タクシーや岐阜近鉄タクシー、岐阜つばめタクシーに日の丸タクシー、日本タクシーなど60台~200台規模の会社だ。
各社に共通して苦悩するのは慢性的な乗務員不足だ。山田さんが続ける。
「もともと岐阜県は電車やバスが強く、岐阜駅でもそう。それでも駅の開発が進み、飲み屋街としても発展して事情もずいぶん変わってきています。名古屋で飲んでいた若い層の方もあえて岐阜に戻ってきて飲む、ということも増えてきている。
駅前に横丁ができて、若宮町あたりも人気がある。飲み屋が集まる柳ヶ瀬あたりもそれに伴い活気を取り戻しつつあります。つまりタクシー市場は昔よりチャンスはあるのに、とくに夜の勤務者がいないため台数を動かせない現状なわけです。これはウチに限らず、岐阜市内のタクシー業界が抱えるジレンマでしょう。
そんな中、コロナ禍で20、30代の若手のドライバーが多く入社してくれたこともあり、若手層の採用は引き続き注力していく予定です」
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