一方、鉄道事業に関しては、もともと収益性が高かったものの、スカイツリーが開業してから、沿線開発も盛んになり、より利用者も増え、年々利益率が上昇するという動きになっています。
「鉄道事業の収益性を上げたい」と、2006年に立てた中期経営計画通りの動きになったというのが、このスカイツリー開業前後の数値の動きから読み取れます。
鉄道会社の成長戦略
高い収益性を持つ鉄道事業を主軸に、レジャー・不動産・流通などといった他事業へも投資を行い、沿線周辺の開発に投資することで沿線の人口を増加させ、利用者が増えれば、また鉄道事業が増益して、新たな投資財源ができあがり、正のループを回していけるというのが、鉄道会社の成長戦略です。つまり、鉄道を走らせるコストは変わらないので、利用者が増えれば増えるほど利益率が上がるというわけです。
本当に教科書通りの多角化戦略を行ったというのが、スカイツリープロジェクトの真相でした。
このように、過去の経営計画を基点に、その後の財務数値を追って見ていくと、「当時の経営戦略が果たして本当にうまくいったのかどうか?」という答え合わせができます。
ちなみに東武鉄道にとって、スカイツリーを開業した2012年は増益した「転換点」になっていますが、コロナ禍の影響を大きく受けた2021年3月期の決算は例年とは全く違う「異常値」になっています。
興味のある方はぜひ見てみてください。
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