まず、「スカイツリーの建設による東武鉄道のメリット」は何でしょうか。
スカイツリー事業と、スカイツリータウン事業というものが新たに登場します。
スカイツリー事業は何かというと、主にレジャーです。たとえば、展望台等の観光収入が新たに東武鉄道の収益に加わります。また、スカイツリーは電波塔でもあるので、NHKなどから電波塔の使用料収入を長期的な安定収入として得られるようになります。これは、スカイツリー事業、レジャー事業の東武鉄道の大きなメリットでしょう。
ほかにも、スカイツリータウン事業という名の不動産ビジネスが新たに加わりました。スカイツリーの下にあるソラマチや、レジャースポット等の東京スカイツリータウンによる収入など、不動産事業のテナント収入が新たに加わります。このように、東武鉄道はスカイツリーを建てることによって、新たな収入源を得られるようになりました。
しかし、それ以上に東武鉄道が狙っていたいちばんの狙いとしては、鉄道利用者の増加であるというのは外せないポイントでしょう。東京スカイツリーの来場客が増えれば増えるほど、当然、東武鉄道の利用者も増えます。東武鉄道の利用者が増えれば、鉄道事業の稼働率や利益率が上がります。スカイツリー建設による沿線開発は、鉄道の利用者の増加を見込んだ教科書どおりの多角化戦略のように思えます。
東京スカイツリー建設前後の数字の動き
実際にスカイツリーが完成してから、どのように数値が動いたのでしょうか。まずはレジャー事業の推移から見ていきます。
次図のグラフを見るとわかるとおり、スカイツリーができる前までは、ずっと営業利益率は1%前後で推移していました。そして、スカイツリーが完成したタイミングで一時的に14.3%と、10%台まで利益率が拡大します。完成してピークが過ぎた後で、だんだん下落していくという動きになっていますね。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら