レオパレスが債務超過転落、再建へ「2つの不安」 賃料減額は波乱含み、収益計画もガラス細工

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2021年3月期に債務超過に陥ったレオパレス21。再建への道のりは険しい(記者撮影)

アパート・マンションの賃貸管理大手「レオパレス21」の経営再建は、「茨の道」が続いている。

5月14日に発表した2021年3月期決算は、売上高が前期比5.7%減の4089億円、当期純利益は236億円の赤字となった(前期実績は802億円の赤字)。これで3期連続の最終赤字となり、2021年3月期は東京証券取引所の基準で84億円の債務超過に陥った。決算書には継続企業の前提に関する重要事象等が付記されている。

入居率低迷で「逆ザヤ」に

サブリースによるアパート転貸を主力とする同社にとって、最も重要な指標となる入居率は損益分岐点である80%を下回り、2021年3月期の平均は78.8%に終わった。これはアパートのオーナーにレオパレスが支払う賃料が、同社が入居者から受け取る賃料を上回る「逆ザヤ」状態にあることを意味する。

2018年に施工不備が発覚して以降、不備が1部屋でもあるアパートは入居者の募集を全面的に停止していたが、2020年1月からは不備のない部屋については徐々に募集を再開していた。その結果、2019年12月末に58.2%だった施工不備を抱えるアパートの入居率は、2020年3月末には67.2%まで回復。2021年3月末には73.8%まで上昇していた。

一方、施工不備のない物件の入居率は、2020年3月末に91.9%だったのが、2020年12月末には82.8%まで低下。コロナ禍の影響を受けた格好で、繁忙期であるはずの2021年3月末でも86.2%までしか回復していない。

【2021年5月31日12時45分追記】初出時の記述が一部誤っておりました。表記のように修正いたします。

レオパレスの業績はコロナの影響を極端に受けやすい。同社の借り上げる物件は入居契約の6割を法人が占める。しかも、社員の異動が比較的頻繁な観光や飲食関連企業との契約が多く、入居者の大部分が単身者だ。

コロナ禍で企業は長期出張を抑制し、転勤をとりやめるケースも続出した。大学でもオンライン授業が増え、入国制限で外国人留学生も”蒸発”した。

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