レオパレスが債務超過転落、再建へ「2つの不安」 賃料減額は波乱含み、収益計画もガラス細工

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

同社によると、コロナ影響を除外した2021年3月期の平均入居率は83.74%。つまり、コロナ禍は入居率を4.85%ポイント押し下げたことになる。

ただ、コロナは同社に「執行猶予」を与えた側面もある。通常であれば2022年3月期までに債務超過を解消しなければ上場廃止になる。だが、コロナ禍による猶予基準の適用を受け、債務超過の解消は2023年3月まで先送りできる見通しとなった。

新株予約権の行使は進まず

当初、レオパレスのスポンサーであるアメリカの投資ファンド「フォートレス・インベストメント・グループ」が新株予約権を行使することで最大209億円を調達し、債務超過を解消する算段だった。だが、2020年11月に割り当てた後、レオパレスの株価は新株予約権の行使価格である142円前後で低迷し、フォートレスによる権利行使は進まない。かわりに同ファンド日本法人の山下明男代表ら2人が社外取締役に入り、監視体制を強めることになる。

フォートレスは当面、新株予約権を行使せずに、債務超過解消へ業績回復を待つ構えのようだ。施工不備に絡む数々の問題はほぼ一服し、レオパレスは2020年8月に減資を実行して税負担の軽減・税効果メリットの最大化を図るなど、あの手この手の生き残り策を打ち出す。今後の焦点はコロナの直撃を受けた本業を立て直せるかどうかに移っている。

同社は「下期からコロナ影響が回復してくる」(レオパレスの竹倉慎二経営企画部長)ことを前提に、2022年3月期の入居率が通期平均で81.65%、営業利益は20億円(前期は291億円の赤字)の黒字を見込んでいる(当期純利益は56億円の赤字の見通し)。さらに、2023年3月期には通期平均入居率が86.92%、当期純利益228億円まで回復し、同期末の自己資本は11億円と債務超過を解消する計画だ。

しかし、アナリストからは「補修工事計画がスローペースなことを踏まえると、入居率の大幅な改善は容易ではない。業績計画は楽観的な印象」(SMBC日興証券の田澤淳一シニアアナリスト)との指摘もある。

次ページ賃料減額交渉が新たな波乱要因に
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事