統一教会への「歯止め」を決壊させた安倍元首相 岸田政権は教団との依存関係を解消できるか

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自民党の中でも歴史的に統一教会に近い安倍派(清和政策研究会)の長である安倍元首相が、ある意味、率先垂範して統一教会に関わるイベントに登壇したのです。極めてあからさまに、まるで「このような関わりをもっても何も問題がないのだ」と開き直るかのように。派閥のトップで、憲政史上最も長く首相を務めた人物が教団と密に関わることを隠さなくなっていたわけですから、そのもとにいる議員たちが統一教会と接点を持つことをためらわなくなるのは道理です。

政治家のこうした言動が教会とその信者にとって、またそれだけでなく被害者や悩みを抱える「宗教2世」らにとってどんな意味を持ったかも併せて考えなくてはなりません。もちろん犯行が正当化されることにはなりませんが。

やはりUPFイベントへの安倍元首相の登壇は、この十数年間の変化を象徴するシーンだったように思います。

――政治家が統一教会と接点を持つメリットは何でしょうか。

国政選挙ではあくまで限定的ですが、まずは票です。統一教会は選挙となれば数万から十数万の票を持っています。社会的に問題を抱えてきた教団であっても、選挙に強くない候補者にとってはとてもむげにできない。現に、安倍元首相はここ何回かの参院選で、当落線上にいる安倍派の候補者に統一教会の固い票を割り振ってきたとされています。教団の票がなければ落選していた議員が一定数いるはずです。また、地方議員にとってはより重みを持った可能性があります。

票だけではありません。統一教会の信者たちは熱心に選挙支援をしてきました。ポスター貼りからビラ配り、電話作戦まで、無私の精神で献身してきました。動員をかければ集会に大勢の信者がかけつけます。選挙に弱い候補者にとっては利用価値が高く、この面は特に大きかったと思われます。

――教団はかつて国会議員の事務所に信者を秘書などとして送り込んでいたとされます。

無償で熱心に働くわけですから政治家にとっては都合よくありがたい存在だったのでしょうが、そもそもなぜそこまで献身的なのかを考えてみるべきだと思います。何を「見返り」として求めていたのか。政治家周辺のみならず党内の情報などが得られていたでしょうし、他の事務所で働く信者秘書たちと情報を擦り合わせることで独自の情報網を築いていた可能性もあります。

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