統一教会への「歯止め」を決壊させた安倍元首相 岸田政権は教団との依存関係を解消できるか

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――1970年代の中盤以降、「先祖が苦しんでいる」「先祖の因縁を解かなければ不幸が続く」といった宗教的・霊的な威迫をともなって高額な壺や印鑑を売りつける「霊感商法」が台頭しました。

これもポイントとなるのは、統一教会はこうした活動を途中から方針転換して、日本においてのみ行い始めた、ということです。韓国あるいは欧米ではいわゆる「霊感商法」を基本的にやってきていません。

キリスト教系新宗教としての独自の聖書解釈から、こうした考えや実践が自然に出てきたとは言えません。70年代中盤に文鮮明から送金命令が出て、その必要に駆られて出てきた手法です。「先祖の因縁」「霊と霊界の存在」「吉凶・開運」などは東アジアの宗教文化、日本人の宗教観に響くところがあったでしょう。そこをついて、不安や恐怖をあおるのです。霊感商法の「霊能師」役はあくまで「役」であり、修行などをするのではなく、トークマニュアルを学んでそれを演じるものでした。

統一教会のグローバルなネットワークの中で、日本は長らく資金源の役割を担わされてきました。まず正体を隠した布教で誘い込む。その先の企業形態を取る経済活動のなかでいわゆる「霊感商法」が行われ、金銭が収奪される。信徒としての献金も、「先祖の因縁」や「怨み」を解くという宗教的呪縛のなかで強要的に、時に破産に至るまでのレベルで行われる。それらが海外に送金される。そうしたことを長らく続けてきたのです。

教会本部まで捜査が及ばなかった

――2007年から2010年にかけ、霊感商法を行っていた会社が相次いで摘発されました。その多くが客を不安に陥れて高額な商品を売りつける特定商取引法違反でした。

重要な岐路となりました。しかし、裁判においては「相当高度な組織性が認められる継続的犯行」とされ、統一教会との関係性も認められたにもかかわらず、教会本部にまでは捜査が及ばないなど、その捜査は不徹底だったと思います。そこに政治家の介入がなかったかは厳しく検証されるべきでしょう。

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