統一教会への「歯止め」を決壊させた安倍元首相 岸田政権は教団との依存関係を解消できるか

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――ソ連崩壊によって冷戦は終結し、イデオロギー対立の中にあった「反共」「勝共」という旗印は、もう力を失っているのではないでしょうか。

冷戦終結とともに「勝共」の看板を降ろす、とはなりませんでした。彼らなりの闘いは続けられます。私が見るに、政治活動としては「勝共」の「共」の枠が途方もなく拡大され、その中にさまざまなものが入れ込まれることで、「新たな敵」が設定されていったと考えています。家族や「性的」純潔を重視する教えからも、それらの「敵」とされた典型的動向としては、夫婦別姓や性教育、「ジェンダーフリー」、同性婚、LGBTなどの性的マイノリティー理解などが挙げられます。

彼らが考えるところの「共産主義っぽいもの」「左翼っぽいもの」を一緒くたに「勝共」の「共」に入れ込み、それらと戦うことで自分たちのレーゾンデートル(存在価値)を見いだし活動が続けられる。当事者の悩みや苦しみなどは蚊帳の外で、これらの動向は「文化共産主義」なり「新マルクス主義」なりの策動として捉えられます。

夫婦別姓や同性婚は家族を破壊すると思い込んでいるし、共産主義勢力による「性の革命」が押し寄せている、これに抗しなければならないというのが現在に至るまでの彼らの行動原理になっていると捉えられます。これらは自民党右派や、神社界、日本会議、右派論壇などとの主張や運動とも響き合い、一定の影響力を持った点が指摘できます。

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