エジプトで400日拘束された記者が語る真実 「ムスリム同胞団」を支援していると疑われた

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──家族との再会は?

当初キプロスに飛び、その後、オーストラリアのブリスベーンに向かい、午前1時に着いた。飛行場には家族や親戚全員がそこにいた。信じられないぐらい暖かい抱擁をした。

──世界各地で働くフリーランスのジャーナリストについて聞きたい。エジプト人のプロデューサー、バーハ・モハメド氏はアルジャジーラが地元で雇ったフリーランサーだ。支局長のモハメド・ファーミー氏はエジプト生まれだがカナダに移住し、エジプトとカナダの国籍を持っていた。あなたとファーミー氏は外国人記者として国外に送還されたとしても、エジプトの国籍のみを持つモハメド氏が取り残される可能性があった。著名なジャーナリストばかりではなく、地元のフリーランサーを助けるために釈放キャンペーンを起こすべきかも知れない。どう思うか。

確かにそうだ。多くの欧州人にとっては自分も含めた白人のジャーナリストの方への関心が高いかもしれない。地元のジャーナリストをつい忘れがちになるが、実は多くの地元の人、特にフリーランサーたちが攻撃の対象になっている。

不当な逮捕に対しジャーナリストが行うべきことは?

──外国でジャーナリストが逮捕・拘束されたら、まず何をするべきと思うか。

決まったパターンはない。しかし、誰かを救い出す必要があるなら、すぐに行動を起こすべきだ。最初の24時間か48時間のうちにだ。それができなかったら、長期戦になるだろう。何をするべきか決め、弁護士をつけて、外交関係者、逮捕した国の関係者と話す。表向きにやるか、表に出ないようにしてやるかは状況によるだろう。1秒も無駄にしてはならない。遅くなれば、解決も長期になる。

──アルジャジーラの中で議論があった。拘束されたジャーナリストの釈放を求めて大きなキャンペーンを起こすべきか、あるいはそっと静かにしているべきか、と。最初は静かにしていたが解決の方向には向かわなかったので、キャンペーンを開始した。何かアドバイスはあるか。

今回のような複雑な事件では、一つのことが直に別の事象や結果に結びついたかどうかを言うのは難しい。リンケージは非常にあいまいだ。私たちのケースから教訓を引き出し、それを他のケースに適応しようと言うのはやや危険だと思う。一般的な話だが、戦略を考え、一貫して実行することだ。右往左往すると事態が複雑になる。

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