池上彰が読み解く「イスラム国の真の姿」 「過激テロ国家」という認識は思い込み?!
この本によれば、「イスラム国」のリーダー、バグダディはアルカイダの失敗を、米国という「あまりに遠い敵」に第二戦線を開いたこと考え、ジハードに「建国」の意味を初めて持ち込んだのだという。領土をとり、石油を確保し、経済的に自立。支配地域には、電気をひき、食糧配給所を設け、幼児に対する予防接種まで行う。その最終目標は、英仏によってひかれた中東の国境線をひきなおし、失われた真のイスラム国家を建設することだという。
その話題の書を、自らも中東を長年取材してきた池上彰氏が解説、その全文を掲載する。
「過激テロ国家」は思い込みなのか
日本国内では、北海道大学の学生が「就職活動に失敗したから」という理由で参加しようとして注目を浴びた「イスラム国」。世界各地から多くの若者を引き付ける磁力を持った組織が、日本の若者たちをも誘引しようとしていたことは、衝撃を持って受け止められました。
2014年12月に公表された警察庁の「治安の回顧と展望」は、北大生のような若者が出たことについて、「今後も参加を企図する者が出てくる可能性は否定できない」と警戒感を表明しています。
リーマン・ショック以降、世界各地が陥った不況と、それに続くEUのユーロ危機は、世界各地で閉塞感を強めています。そんな現状を打ち破ってくれそうな新たな希望の星。先進国の一部の若者たちにとって、それが「イスラム国」という存在なのでしょう。


















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