BTSの「兵役問題」が2年間も揉め続けている理由 本人たちの意思不在なまま揺れる世論と政府

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こうした中で、B T Sのために、兵役特例制度の対象にグラーミ賞受賞やビルボードチャート1位を加えると、「公正ではない、不平等な」B T Sのための法改正という認識が広がりかねない。国会が、法改正に積極的に取り込まない理由もここにある。「公正」を問われる声が徴兵制に対する不満につがなり、その批判が政治に向かうことをおそれているからであろう。

B T Sメンバーが「同意なき特例制度」の恩恵を受け、徴兵が免除され、活動を貫けることになっても「特例で免除を受けたアイドル」という否定的なイメージが被せられてしまうこともありうる。

BTSは特例制度の適用を訴えていない

一方、B T Sメンバーはこれまで何度も「兵役をまっとうする」という立場を明確にしている。「同意なき特例制度」の恩恵を受けることがもたらす影響や危険性を十分認識しているからだと思われる。

B T S自ら「特例制度」の必要性を訴えたこともないのに、政治はB T Sの人気の便乗し、B T Sの兵役を、政治的利用をしている現実も否めない。B T Sの政治利用をやめてほしいという批判があるのも事実である

B T Sのための兵役特例法案が今年中に成立するかどうかは不透明である。韓国社会において徴兵制が不平等や公正に深く関係している現実を考えれば、B T Sの兵役をめぐる動きや政策決定は、韓国社会に新たな軋轢をもたらすかもしれない厄介な問題となっているのである。

朴眞煥 報道番組ディレクター、ジャーナリスト

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パク・ジンファン / Jinhwan Park

1975年韓国ソウル生まれ。韓国漢陽大学大学院卒業後、作戦将校として空軍に入隊(元空軍大尉)。2005年来日、京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程中退、専門は文化人類学。韓国における軍事文化、徴兵拒否運動、反戦平和運動について研究を続け、筑波大学研究員を経て、2016年から現職(主に朝鮮半島情勢、日韓関係を取材し執筆、メディアに出演中)。著作に「韓国社会の徴兵拒否運動からみる平和運動の現状」「異文化で自文化を研究すること語ること-非日常な軍隊経験と前後の日常」など。

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