専門医が指摘「危険ないびき」「ただのいびき」の差 無呼吸を防いでよい睡眠も得られる「CPAP治療」

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しかし、日常的にいびきをかいているとしたら要注意です。夜中に無呼吸になっていないか疑ってみてください。いずれにしても、いびきは熟睡、つまり質の良い睡眠を妨げてしまいます。

「無呼吸」の定義は、寝ているときに10秒以上の気流停止(息が止まってしまう状態)があることです。舌やのどちんこには、支えとなる骨や軟骨がありませんから、仰向けに寝ると、のどがベチャッと潰れてしまう。これが無呼吸という状態です。

無呼吸が1時間に5回以上出現すると「睡眠時無呼吸」とされます。この「1時間に何回認めたか」の指標を、「無呼吸低呼吸指数」(Apnea HypopneaIndex:AHI)と呼びます。最近では、睡眠中の呼吸やそれに伴う換気が不十分な状態そのものを全般的に「睡眠呼吸障害」(SleepDisorderedBreathing:SDB)と呼ぶようになっています。「睡眠時無呼吸症候群」は、英語表記でSAS(SleepApneaSyndromeの略)と呼ばれます。

人の呼吸は「鼻呼吸」が本来の姿

のどには、噛んだ食べ物を飲み込んで食道に送り込む機能と、呼吸によって空気を取り込む2つの機能があります。噛んだ食べ物を飲み込むとき、のどの筋肉がつぶれて、食べ物を食道に引っ張り込むような動きになっています。

したがって、この機能において、のどは柔らかい構造であることが必要です。一方、空気の通り道はトンネルみたいにつぶれない状態が保たれていないといけません。そのためには硬い構造が必要です。

のどは咽頭開大筋といういくつかの筋肉のグループによって、普段はしっかりと開いた状態が保たれているのですが、疲れてくると筋肉はゆるんだ状態になります。夕方になると、会社から帰宅する電車の中で、全身の力が抜けてしまったように顔を上に向けて寝ているような人をよく目にしませんか? 筋肉が弛緩するとああいう寝方になってしまいます(反対に、朝だと下向きに寝ている人が多いように思います)。

こうして筋肉が緩むことによって、のどが潰れた状態になってしまい、先ほど窓を例に述べた、「窓の閉まった」状態になるわけです。もし、のどが息をするためだけの硬い構造だったら無呼吸は起こらないでしょう。しかしこれだと、食べ物を食道へ送り込むことができません。

また、人は構造上、口呼吸になると舌の付け根が狭くなるため、いびきをかきやすくなり、その結果、眠りの質が悪くなってしまいます。口呼吸によりのどが乾燥し、風邪をひきやすくなったり、喘息の人は発作を引き起こしやすくなったりします。呼吸のためにのどが開きやすい状態を保つには、鼻呼吸はとても重要なのです。

CPAPとは、Continuous Positive Airway Pressure(持続的陽圧呼吸)の頭文字をとったもので、睡眠時無呼吸症候群の治療法の1つです。日本では「鼻マスク治療」などと言われることも多く、nCPAP(nはネーザル=鼻)と表記されることもあります。

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