「屋外で走る」が現代人のストレス解消になる理由 ジャンプ運動で「幸せホルモン」が活性化される

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また、テレワークで孤独な時間が長いことや、慣れない自宅で仕事をすることもストレスを溜めてしまう原因です。

ストレスの解消法は人それぞれ(お酒やショッピングもその1つ)でしょう。そして、ランニングにもストレス解消の効果があるという実感を、アメリカ人ランナーはもっているのです。

2014年時点で日本人ランナーのモチベーション上位に「ストレス解消」はありませんでしたが、パンデミック第7波といわれるコロナ禍がまだ収束していない2022年の今なら、上位にきている可能性があります。

ランニングに楽しさを感じる理由

ランニングに楽しさや気持ちよさを感じるだけでなく、ストレス解消の効果があるのは、「セロトニン」という脳内ホルモンがかかわっています。

セロトニンは、ドーパミン、ノルアドレナリン、オキシトシンと並ぶ代表的な脳内神経伝達物質(脳内ホルモン)で、ドーパミンとノルアドレナリンを制御して精神を安定させる働きをします。

■セロトニンの代表的な効果
精神を安定させる
身体を目覚めさせる
気分をポジティブにする

■ドーパミンの代表的な効果
やる気を出す
達成感をもたらす
集中力を高める

■ノルアドレナリンの代表的な効果
記憶力を向上させる
情報処理のスピードを上げる
ほどよい緊張感をもたらす

■オキシトシンの代表的な効果
愛情や信頼感を形成する
心に安らぎをもたらす
不安を軽減する

ランニングとセロトニンの関係について考えるようになったのは、かつて八王子の病院で精神科のドクターとうつ病で入院している患者さんの運動療法について打ち合わせをしたことがきっかけでした(詳細は拙著『癒しのランニング』をお読みください)。

国内のうつ病患者は2008年に100万人を突破しました。最近では2万人近くにのぼる自殺者の多くがうつ病を患っているという事実があります。

そして、精神科のドクターから「自殺者の脳内にはセロトニンがほとんどない」という話を聞き、衝撃を受けました。自殺をするほど精神的に追い込まれた患者さんの脳には、「幸せホルモン」といわれるセロトニンが決定的に枯渇しているのです。

セロトニン分泌には3つの要素「日光を浴びる」「運動をする」「スキンシップをとる」が必要だといわれています。そして、運動のなかでも特に「抗重力筋を使うリズム運動=ジャンプ運動」が効果的なのです。

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