1500万部のサッカー漫画に見る「弱者の戦い方」 元日本代表・中村憲剛さんが語る「アオアシ」

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サッカーはメンタルのスポーツ

武蔵野の佐竹監督はやるべきことが明確で、意思がはっきりしているチームを作っています。対戦するエスペリオンはチーム内で2番手のBチームで挑みますが、そうしたJユースという手強い相手にもしっかりと戦う術があるんだと、選手たちが感じながら戦えるかどうかがとても大事です。街クラブでも、Jの下部組織に勝てる力を十分養える点を描いていることは、僕としても興味深いです。

サッカーはメンタルのスポーツでもあると僕は常々思っています。いかに強気で、自信を持って戦えるか。ただ日々の積み重ねが結果となって表れないと、やはりリスクも冒せないんです。育成年代の永遠の課題である育成と結果を両立させるために、佐竹監督はそこをうまくチャレンジさせているなと感じます。

例えば試合の中で、立ち上がりのエスぺリオンがロングボールを多用してきました。

武蔵野のハイラインにはリスクがありましたが、エスペリオンがうまくいっていると思っていたところで、それを封じ込めています。武蔵野の司令塔である武藤がうまくまとめて試合中の戦い方を変えていました。

©小林有吾/小学館

武藤のような選手は、これしろあれしろと選手に強制する指導では、きっと育たないと思います。佐竹監督のように、ある程度彼らの考えも聞きながら指導者の考えを共有させるチーム作りをするとああいう選手が出てくるんだと思います。試合に勝つためにいろんな手段、方法を講じながらそれを監督も選手も考えながらやっていますね。

次ページ「考えてリスクを冒せ」
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