1500万部のサッカー漫画に見る「弱者の戦い方」 元日本代表・中村憲剛さんが語る「アオアシ」
プロサッカー選手を目指す若者たちを育成するJリーグの下部組織「Jユース」。ここを舞台に、ひとりの少年・アシトの挫折と成長を描き、シリーズ累計1500万部を突破したサッカー漫画が『アオアシ』(小学館)です。
アオアシはエンターテインメント作品というだけでなく、実際にサッカーをする人、とくに子どもたちの参考になる視点が多く詰まっています。そこで、アオアシに登場する技術や考え方について、元サッカー日本代表である中村憲剛氏に「指導者目線」で語ってもらいました。
話は、主人公アシトが所属するエスペリオンユースと、東京武蔵野市を拠点とする街のクラブ・東京都武蔵野蹴球団ユースが戦う、「武蔵野戦」から始まります。
中村憲剛さんが「指導者目線」で見ると…
こんにちは。中村憲剛です。
ここでは、アオアシについて、選手目線だけではなく、僕なりの指導者目線も交えながら読者の皆さんに伝えていきたいと思います。
指導者目線で言うと、9巻から対戦する武蔵野ユースは興味深いチームでした。
アオアシは「J下部」と呼ばれるJリーグチームの下部組織の物語です。その対立軸として高校サッカーが描かれていますが、この年代には街クラブもたくさん存在して同じリーグ戦を戦っています。
アオアシを読んでいる読者の中にも、街クラブに通っている子が多くいるのではないでしょうか。
中学・高校と年代が上がるたび、J下部組織のセレクション(入団試験)に挑んで跳ね返された子も多いと思いますし、一方でアシトのチームメイトである橘のように、街クラブからJ下部に入ってくる子もいます。
僕自身は高校サッカー出身者ですが、練習環境などの面で、立ち位置的には武蔵野ユースでプレーしている彼らに近いところがあります。だから、この巻はどこか彼らにシンパシーを感じながら読んでいました。
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