真昼に犬を散歩させる人が知らない「虐待」リスク 冷房つけて外出しても…犬や猫も熱中症になる

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まずは、飼い主は犬が熱中症になりやすい動物だということを頭に入れて置かなければなりません。そして、留守にするときは、エアコンをつけておかないと熱中症になるリスクがあります。設定温度は難しく、一概に28度ぐらいでいいともいえません。上述のような犬種や疾患を持っている子は、もっと低い設定温度にしないと、いけない場合もあります。

それ以外に、以下のように便利なものがあります。
・水に濡らすと冷たくなる服
・保冷剤(首に巻く)

首には、大きな血管が皮膚の近くに走っているので、ここを冷やすと体が冷えやすいです。鼠径部などでもいいですが、動いている子のここに保冷剤を当てるのは難しいですね。

留守中の体調変化は見守りカメラでチェック可能

このほかにも、以下の点も留意してください。
・散歩に行く前に、十分な水分補給を
 脱水症になっていると、熱中症のリスクが高くなります。
・小型犬ならカートに乗せて散歩に行く
 高温になっているアスファルトの上を歩くのを避けるため。
・中型犬、大型犬なら、車で河川敷や公園に行く
・ペットの見守りカメラを設置する(留守中)

今はスマホの画面で室内のペットの様子見られる「見守りカメラ」があり、ペットの様子を24時間見ることができます。ペットの元気がない時、録画機能があるものであれば、留守中などの様子を確認することができます。

実際にあるシーザーは、冷房をつけて出かけたものの、室内に吐いた後が無数にあったとのことで、診察時は体温も高温でなく、呼吸数も正常でしたが、留守中の状況を考慮して熱中症と診断し、治療したことがあります。

地球温暖化のせいか、日本でも最高気温が40度近くまで上がることがあります。ずっと犬を飼っている人は、これが正しい夏の飼い方だと思っていても、時代により変化します。現在の適正な飼養環境は何かをよく理解して、ペットが熱中症にならないように気をつけてあげましょう。

石井 万寿美 まねき猫ホスピタル院長、獣医師、作家

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いしいますみ / Masumi Ishii

大阪市生まれ。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は栄養療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。『動物のお医師さんになりたい(コスモヒルズ)』シリーズ、『ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)』など著書多数。シニア犬と暮らす。

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