日野エンジン不正拡大、まだまだ終わらぬ正念場 20年にわたり続いた体質、国交省にも虚偽報告

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エンジンの専門家や外部有識者で構成する調査委は、報告書の発表をもって活動を終える。今後、新たな外部委員会を立ち上げるのか、日野内部に調査機関を設けるかなどは決まっていない。

さらに問題が拡大する可能性もある。今回の調査対象はあくまで国内の中・大型エンジン。北米と東南アジア向けなどは調査の対象外だからだ。

そもそも今回の問題の発端は北米事業での現地の法規制への課題を社員が指摘したことだった。2021年9月まで工場が停止していた北米でも、アメリカ当局による調査が続いている。

調査委の榊原一夫委員長(弁護士、元大阪高検検事長)は「他の海外向け(エンジン)も問題がある可能性はある」と言いつつ、「海外には法規制は多岐にわたっているため、相当な時間がかかってしまう」と話し、不正の調査範囲は限定的だったことを説明した。

日野の小木曽聡社長は8月2日の会見で「ご指摘いただいたように調査結果はかなり多岐にわたり、メーカーの責任は重い。次に向かってさらに対応していくべきだと思う」と語った。

問われる問題発覚後の日野の対応

日野はこれから3カ月をめどに新たな執行体制を取りまとめる。これからは日野が主体的にどれだけ踏み込み、社内改革を進めていくかが焦点となる。

日野の小木曽聡社長は「メーカーの責任は重い」と語った(撮影:尾形文繁)

そもそも、3月の問題公表から5カ月のあいだにどのような対応を取ったのか。小木曽社長は報告書を会見の前日に読み始めたと説明した。だが、日野自身でも総点検をしていたはずで、報告書で指摘される前から不正の拡大について知っていた可能性は高い。

その点を指摘する質問に小木曽社長は「ひとつひとつのインタビュー、会議議事録もどのような進捗で進めてきていることは把握していた」と話し、問題拡大を認識した時期については明言しなかった。

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