老親と自分の「認知症対策」、最適解がわかった 主張の異なる良書を精査してわかった「真実」
認知症について書かれた本はいろいろあり、専門家によってさまざまな主張が展開されています。早期の予防の重要性について語られている本もあれば、予防に力を入れるくらいなら認知症になっても安心して暮らせる社会づくりのほうが大事であると語られている本もあります。
それぞれの本を熟読すると相容れない部分も多々あるのですが、どの本でも必ず述べられているのは、超高齢社会で避けることのできない認知症を「知る」ことの大切さです。
予防できなくても、対策はある
認知症研究の第一人者である長谷川和夫さんは、2007年に自身が認知症であることを公表しました。その長谷川さんもまた、いちばんの望みは認知症についての正しい知識を皆さんにもっていただくことだと、著書『ボクはやっと認知症のことがわかった 自らも認知症になった専門医が、日本人に伝えたい遺言』で述べています。何もわからないと決めつけて置き去りにせず、本人抜きに物事を決めないで、暮らしの支えになってほしいという切実な訴えは胸に響きます。
認知症専門医で日本認知症ケア学会理事長の繁田雅弘さんは、監修書『安心な認知症 マンガとQ&Aで、本人も家族も幸せになれる!』で、認知症が進行するスピードは人によってさまざまだが、薬をのみ、デイサービスなどでリハビリを行い、適切なケア(介護)を受けている人のほうが、何の対策もしなかった人に比べて、認知症が「軽度」である期間が倍以上延びているという研究があると紹介しています。
今後どうすればいいかという不安があるなら、早いうちから介護のプロを味方につけておくのが安心だそう。介護経験のある友人・知人に相談するほか、地域の認知症カフェや家族会なども頼りになると述べています。
認知症の世界も介護の世界も、前人未踏の荒野ではありません。先達は大勢いますし、仲間もいます。知恵も経験も豊富に蓄積されています。先達や仲間の声を積極的に聞いて皆で語り合っていくことが、いちばんの対策になるのだと思います。
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