老親と自分の「認知症対策」、最適解がわかった 主張の異なる良書を精査してわかった「真実」

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さて、より切実な問題が老親の認知症です。久しぶりに実家に帰省して、老親と接したときに「あれ? もの忘れがずいぶん進んでいるなあ。もしかしたら、認知症になり始めているのかも……」などと感じたことがある人も多いのではないでしょうか。

(画像:主婦と生活社)

今後、老親が認知症になってしまったら、介護はどうすればいいのか。お金はどのくらいかかるのか。施設はどう選ぶのか。不安の種は尽きませんよね。

実際に困るのは「もの忘れ」ではない

認知症の介護で実際に困るのは、じつは「もの忘れが強まること」ではないと伝えているのが、在宅医療に関わる長谷川嘉哉医師です。著書『ボケ日和 わが家に認知症がやって来た! どうする? どうなる?』によれば、困るのは、患者さんの「怒りっぽさ(易怒性)」「幻覚・妄想」などの周辺症状で、やたらと攻撃的になったり、「お金を盗まれた」「浮気しているに違いない」とののしったり、暴力をふるったりすることだそうです。たしかに、これが毎日のように続けば、誰だって疲弊してしまいますね。

しかし、長谷川さんによると、これらの周辺症状は患者さんの体力の低下とともに1~2年で落ち着くもので、さらに7~8割は薬でコントロールすることができるそうです。それを知っておくだけでも、気持ちの負担が少し減りそうです。

デザインの力で社会課題解決に取り組んでいる筧裕介さんは、著書『認知症世界の歩き方』で、「本人」の視点に注目。認知症の人が感じていること、困っていることをストーリー仕立てでまとめています。

たとえば、認知症の人では、扉や棚、冷蔵庫などを閉じた途端に、中にあるものが存在しなくなってしまうそう。筧さんはこれを「ホワイトアウト渓谷」と名づけました。深い霧と吹雪が、視界とともに記憶まで真っ白に消し去ってしまう幻の渓谷です。そこに入り込んでしまうがゆえに、同じものを何度も買ってきてしまうのだと説明されると、認知症の人に何が起こっているのかがよくわかる気がします。

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