8月に増加の「食中毒」やられる人の4つの間違い カレーの加熱、生ハンバーグ、消毒の落とし穴

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また、「柔らか加工」「霜降り加工」などと謳った成型肉も要注意だ。成型肉とは、細かいくず肉や内臓肉を軟化剤で柔らかくして結着剤で固め、形状を整えたものだ。肉に脂身を注射して霜降り状にしたものもある。

見た目で気づかないこともあるので、焼き肉店などでは注文時によく気をつけて、やはり中までよく火を通そう。肉を焼くトングや箸と、食べる際の箸を必ず使い分けるのも忘れずに。

アルコールで除菌すれば洗わなくて平気?

コロナ禍で習慣化した「アルコール消毒」にも、落とし穴がある。知っている人には“常識”なのだが、アルコールは実はそれほどの万能消毒薬ではない。

まず、濃度が薄すぎても濃すぎても効き目は薄い。アルコール濃度は70%が目安だ。殺菌や消毒を謳った衛生製品でも、よく表示を見るとアルコール濃度が30%だったり不明だったりする。効果のほども怪しいものだ。

70%アルコールでも、濡れた手や物に使用すれば、濃度が薄まってしまって効果は十分得られない。

また、濃度が適切でも、アルコールが効かないウイルスもいる。代表例はノロウイルスだ。近年では研究開発が進み、添加剤によって酸性度を調整し、ノロウイルスに効くようにしたものもある。だが、一般的な市販品では無理と考えておいたほうがいい。

手指の殺菌は、アルコールで済ませるよりも、まずはせっけんで手洗いを。水よりお湯だとなお洗浄力が上がる。食中毒微生物やそのほかの病原菌、その毒素は、洗い流すのが一番だ。

調理器具の消毒には、アルコールや漂白剤よりも「熱湯」がおすすめだ。

昔から「煮沸」は消毒方法として有名だが、面倒だとか扱いづらいといったイメージもあるかもしれない。だが、熱湯をかけるだけなら手軽だし、薬剤が残留することもない。高温で瞬時に殺菌すると同時に、毒素も洗い流せる。

漂白剤では塩素系(次亜塩素酸ナトリウム)が効果が高いが、さびる可能性のある金属や、脱色作用があるので色柄物の布製品等(ふきん、スポンジなど)には使えない。酸素系漂白剤やアルコールだと、時間がかかったり効きにくかったりする。

ちなみに台所周りで一番汚染されがちなのが、食器洗いのスポンジだという。食中毒微生物と、細菌の栄養分となる食べかすなどの汚れ(有機物)、水分を含んだまま、長時間放置されやすいせいだろう。

汚染されたスポンジで洗うことは、食中毒のもとを塗り付けているに等しい。こまめに交換し、適宜熱湯をかけて殺菌したい。

以上、4つの「間違い」に心当たりのある人は、ぜひ今すぐ改善を。安全で安心な食事を楽しみながら、この暑すぎる夏を乗り切ろう。

久住 英二 内科医・血液専門医

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くすみ えいじ / Eiji Kusumi

1999年新潟大学医学部卒業。内科医、とくに血液内科と旅行医学が専門。虎の門病院で初期研修ののち、白血病など血液のがんを治療する専門医を取得。血液の病気をはじめ、感染症やワクチン、海外での病気にも詳しい。

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