8月に増加の「食中毒」やられる人の4つの間違い カレーの加熱、生ハンバーグ、消毒の落とし穴

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ただ、勘違いしている人が非常に多いのだが、そもそも③単に腐ったものを食べておなかを壊すことを「食中毒」と呼ぶわけではない。

「腐る」という現象は、細菌などの微生物(腐敗菌)が増えた結果、本来の色や味、香りなどが損なわれて食べられなくなってしまうことだ。ふつうは食べてもまずくて吐き出す。多少飲み込んだ場合も、運がよければ大事に至らずに済むこともある。

実は「食中毒」とは、厳密には、食品衛生法に定められた20数種類の「食中毒微生物」(東京都福祉保健局)が引き起こす腹痛や下痢、嘔吐などの症状をいう。その症状の深刻さから、食中毒微生物は雑多な腐敗菌とは区別されているのだ。

当然ながら、腐った食品には食中毒微生物も付着している可能性は十分ある。

加熱さえすれば食中毒は起こらない?

さて本題に入ろう。「生ものや古いものを食べたわけでもないのに食中毒になった」という場合、まず疑うべきは3つの点だ。本当に加熱が十分だったか、調理前の食材が適切に温度管理されていたか、調理後に付着した可能性はないか。

加熱が不十分だった、冷蔵品が常温にさらされていた、といった場合はお話にならない。また、いったん加熱調理した後に温度の下がった食品を、汚染された食器や調理器具(トングなど)、手などで扱った場合も、食中毒になっても無理もない。

問題は、この3点をクリアしていたときだ。つまり、きっちり温度管理された食材をしっかり加熱したうえで、清潔な食器・調理器具で扱ったのに、それでも食中毒は起こりうる。

一因は、加熱調理を過信していることにある。

確かに、加熱すれば病原体は死滅する。だが、食中毒微生物の作り出す毒素には、加熱しても壊れないものもある。代表例が、「黄色ブドウ球菌」と呼ばれる細菌だ。

その毒素は、100℃で30分加熱しても分解されない。黄色ブドウ球菌が付き、時間がたって増えた後でその食材をアツアツに加熱しても、すでに大量に放出された毒素は消えず、食中毒を引き起こすのだ。

食中毒微生物を「やっつける」ことだけを前提にせず、「付けない」「増やさない」よう注意を払うことが肝心だ。

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