トップガン マーヴェリック、昭和世代が熱狂の訳 トム・クルーズの働き方に見た「現役」の意味
そこでトムは、役者向けの3カ月にわたるF-18戦闘機訓練プログラムを自身で考案しました。アメリカ太平洋艦隊海軍航空部隊司令官を直接訪ね、彼らの信頼と協力を得たうえでトレーニングプログラムを編みだしました。そして劇中のマーヴェリック以上の本物教官として、若きパイロットの育成に全力を注ぎ込んでいったのです。
若手マネジメントのお手本
教え子たちは、その訓練を “ミニ・トム・ブートキャンプ”と形容しました。「どの飛行機から始め、どの飛行機へとレベルを上げていくのか。すべてトムが計画してくれました」と、ある出演者は語っています。
それだけではありません。毎日トレーニングを終えると若手俳優たちは自己評価を行い、感じたことや経験したこと、その日の挑戦や失敗などを書いて提出します。それをくまなく読んだうえで、トムは時に彼らと議論を重ね、時に相談に乗りアドバイスを送ったといいます。
「はじめは『トム・クルーズがそんなものを読むわけないだろう! 彼は世界一忙しい人なんだから』と思いました。ですが彼は1つひとつを読んで、僕らと議論をしてくれました。それがトムという人です」と、出演者の1人はインタビューで敬意を込めて語っています。
「僕らがF-18に乗り込む頃には、“本物”であるかのように振る舞いながら飛ぶことができました。本物のように話し、本物のように歩く。もはや演技していると感じることはなく、俳優ではなく“本物”のトップガン・パイロットになることができたのです」。これも出演者のコメント。まさに、これがトムの求めたものでした。
本人たちの成長を促すために、ステップを踏んでトレーニングするためのマニュアルをつくり、本人たちのペースに合わせて伴走し、マインドを注入しながら軌道修正をしていく。これ、今の時代に求められる理想的なマネジメントです。
インタビューコメントが美談になりやすいということを考慮しても、極めて卓越したマネジメントを実践しているのは間違いありません。
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