トップガン マーヴェリック、昭和世代が熱狂の訳 トム・クルーズの働き方に見た「現役」の意味

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そして教官という立場でトップガンに戻ったトム。

年の離れた今どきの若手訓練生との世代間ギャップに立ち向かいます。最初は馬鹿にされますが、飛行訓練では筋金入りのテクニックを見せつけて訓練生たちに圧勝。ここは痛快シーンのひとつですが、その後の訓練では苦心します。指導ではなく率先垂範といった昭和型マネジメントだけでは、若者の成長を促すことがなかなか難しい時代です。ここには、多くの「昭和型管理職」が経験したマネジメントの葛藤が投影されています。

極めつきは、ミッションリーダーとしてトム自身が飛ぶというまさかのストーリー展開。現場の仕事から離れ、デスクワークに辟易とするミドルマネジメントが現場のサポートに入ったときに感じる「やっぱオレがいなきゃダメなんだよなぁ」というカタルシスの瞬間です。

これ、マネジメントのセオリーではダメダメです。メンバーの成長を支援し、本人に成果を発揮させるのがスジ。実際の職場で同じようなことが起こったら、ミッションから外されたメンバーの不満は尋常じゃないはず。現役一匹狼のトム、マネジメントが下手すぎます。

圧巻のスカイアクションの裏側

しかし、スクリーンの中のトムと、この映画にプロデューサーとしても名を連ねるトムはまったく違います。彼の実像はマネジメントのプロフェッショナルなのです。

トムが最もこだわったのは、CGを使わずにすべてをリアルに撮影することでした。その重要な役割を果たすのが本作の見せ場となる戦闘機での飛行シーンの数々です。これは共演俳優が全員、本物の飛行に耐えうるようにならないと成立しません。

実は、前作では役者陣はF-14戦闘機に搭乗して撮影に臨みましたが、残念ながらトムの映像しか使われませんでした。というのもほかの役者たちは気絶するか、吐くかどちらかで、使いものにならなかったからです。

圧巻のスカイアクションを生み出すには、トム自身が自ら戦闘機に乗り込み強力な重力加速度にさらされるだけでなく、若きパイロットたちを演じる共演の若手俳優たちにも“本物”の演技が不可欠――。前作の苦い経験を教訓としたトムにとって、ここだけは絶対に譲れないポイントでした。

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