リーダーに必要なのは「指示ではなく依頼」の意味 自分が上でなければならないという考えはダメ
でも実際には、すべての領域で自分が「トップ」であることを優先した結果、チームの目標が達成できないほうが、人心は離れていきます。いかに自分より優れた人に働きやすい環境を提供するかが、リーダーの仕事であるとすらいえるのです。
19世紀から20世紀を生き、「鉄鋼王」と称されたアメリカのアンドリュー・カーネギーの墓碑銘はあまりにも有名です。
「己の周りに、己より優れし人物を集めたる者、ここに眠る」
迷ったらこの言葉を思い出してください 。
異分子を入れ、多様性を意識
チーム内で反対意見が出ると、それは「議論」につながります。この議論とは、何のためにするものでしょうか。
議論とは、新しい価値をつくるためにするものです。今、自分が「正」しいと考える意見を正とすると、それに「反」する、または異なる意見が必ずあります。
この「正」と「反」を比べ、合意された「結論」を探すことが「議論」であり、この議論という作業で導き出された結論は、もとの「正」意見や「反」意見のいいところを取り込んで、より高いレベルになっています。 チームを組んで仕事をする醍醐味はここにあります。
チームで仕事をするとき、もし、合意された結論に対して、新たな意見が出てきたら、さらに高いレベルに届かせるための議論がはじまります。
こうして、新しい価値をチームでつくり出していくのです。この価値をつくり出すきっかけが、メンバーによる「反対意見」の表明です。このやりとりを感情を交えず「冷静に」できる人が、価値を発揮するのです。
価値をつくる議論を生み出すためには、異なる意見をもつメンバー(異分子)をチームに迎え入れることが必要です。新しい価値を生み出すリーダーは、常に「異見」をもつ人を歓迎し、招き入れ、それを評価する人です。
チームメンバーの構成について、もう1つ気をつけたいことがあります。
それは、「性別」「ライフステージ」「キャリア」「専門性」「趣味」「出身地」など、プロフィールの多様性を考える、ということです。
「ダイバーシティ」という表現で市民権を得た概念ですが、これは過去に誤解のあった「マイノリティを差別しない」という消極的な意図ではありません。
ここでの多様性とはより積極的に、多様な背景をもつメンバーをチームに招くということです。これがかなうと、チームメンバーのもつ個々の能力を最大限に引き出したり、異なるものの見方や能力が混ざり合い、チームとしての付加価値が向上します。
「異業種からの転職組」「自分とは異なる専門性をもった人とのコラボレーション」「趣味や習慣、宗教観の違い」も、新たな考え方やものの見方の選択肢を増やします。
スポーツ経験者は、仕事をスポーツにたとえてわかりやすく解説しますが、これなどもよいです。新しい刺激はメンバーの視野を広げ、プロフェッショナルとしての成長をもたらします。
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