リーダーに必要なのは「指示ではなく依頼」の意味 自分が上でなければならないという考えはダメ
ライフステージ、キャリアの違いも重要です。刻々と変わっていく要素――たとえば、子育て世代や介護世代のメンバーがいたら、子どもの送り迎えの時間を融通する、介護休暇の取得をみんなでカバーするなど――をチームメンバーが経験できると、それはチーム全体の財産になります。
こうした経験のないメンバーは、自分がいずれ経験するときの予備知識になりますし、すでに経験ずみのメンバーは、その経験を活かし、直接・間接にメンバーを支えられます。
もし万が一、あなたのチームがいまだに「男性」「新卒生え抜き」「フルタイム正社員」、もっといえば「日本国籍」「日本語」のメンバーのみで固められたチームであるなら、むしろそれを弱みだとすら思うべきかもしれません。
ただし理念だけは共有している必要があります。 これが共有されていないと、多様性は裏目に出るリスクがあります。
相談できる人を1人は入れる
私自身も常に心がけているのが、チームには必ず相談相手になってくれる人に入ってもらうということです。
この人は、必ずしも現時点で能力の高い人でなくてもかまいません。ただし、リーダーであるあなたが信頼でき、口の堅い人である必要はあります。
こうした人に入ってもらうメリットは、状況をわかった上で、客観的なアドバイスを淡々としてもらえることです(本人はアドバイスをしているというよりは、感想を述べている程度の認識かもしれません)。
あなたからの相談は、たとえば「さっきのAさんへの私の指示の出し方、横で見ていてどうでしたか?」や、「Bさんのあの言い方には、どんな気持ちが込められていると思われますか?」と、リーダーシップの悩みが中心になります。
「あの言い方はまずかったかもしれません。Aさん、しばらく仕事が手についていませんでしたよ」とか、「Bさんは、最近Cさんとの折り合いが悪いんですよ、実は」という反応を得られれば、その後のAさんやBさんとのコミュニケーションに活かせます。
経験的には、同期や、年齢・社歴が先輩にあたる人に入ってもらうと、こうした関係を築きやすくなります。
一方、自分より若い人やキャリアの浅い人でも、過去にハードな意思決定をした経験のある人や、相応の想像力のある人であれば、相談者になりえます。こうした人は将来組織を引っ張る素養のある人(あなたの後継者候補)でもありますから、意図的に相談をもちかけるのがおすすめです。
相談できる人をチームに入れることは、自身のリーダーシップの確立を早く、また確実なものにし、判断や指示・依頼の独りよがりを防ぐとともに、後継者育成にもつながります。
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